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Endoscopist Doctor's Knowledge
大腸がんは、結腸と直腸からなる大腸に発生するがんです。
国立がん研究センターの最新がん統計によると、大腸がんと診断された数は2019年の数値で155,625例(うち男性87,872例、女性67,753例)あります。また、大腸がんで死亡した数は2020年で51,788人(うち男性27,718人、女性24,070人)となります。
なお、男女合わせたがんの罹患数の順位(2019年)で大腸がんは第1位(罹患数の順位は男性、女性それぞれ2位)、死亡数の順位(2021年)については、男性が第2位、女性が第1位、男女合わせた順位は肺がんに続く第2位となっています。
このように死亡数で上位にある大腸がんにならないためには、早期発見が非常に重要です。しかし、定期健診などで大腸内視鏡検査を行うこと以外に、大腸がんに気づく方法はあるのでしょうか?
今回は、大腸がんの初期症状について詳しく見ていきたいと思います。
がんには神経が無いため、「痛い」とか「違和感が出る」ということがありません。では、どういう時に大腸がんの症状が出るのかというと、便が大腸を通らないぐらいに大腸がんが大きくなった結果、大腸が狭くなって便が通過しなくなることにより症状が出てきます。ただし、それは大腸がんの症状ではなく、便が通過しないことで起こる症状が現れるのです。
大腸を便が通過しない時にどのような症状が起きるかというと、がんが進行して腸の内腔が狭くなり、便がほとんど通らなくなることによって腸閉塞になる人がいます。腸閉塞(イレウス)とは、いろんな要因によって腸にある食べ物や便などが肛門方向に運ばれなくなることを言いますが、腸閉塞になると食事を摂っても先に進んでいかないため、お腹の痛みや吐き気、嘔吐を繰り返すなどが起こります。
腸閉塞で大腸がんが見つかるのはまだ良い方で、便が詰まってしまうことで腸が破れてしまう人もいます。腸が破裂するとお腹の中に便が散乱し、緊急手術が行われるケースもあります。お腹の中は無菌なので、そこに便や大腸菌がまき散らされてしまうと腹膜炎が起きてしまい、さらに菌が血液に入ってしまうと敗血症となり、それが全身に回ることで亡くなる人もいます。
しかしそれは最悪な状態であって、通常はそうなる前に何らかの違和感が出てきます。たとえば、便が細くなったり、便の表面に血が付いていたり、今まで便秘ではなかったのに便が出づらくなったりするといった症状が現れ始めたら大腸がんの疑いがあります。
ポリープが大きくなりすぎても大腸がんと違って腸が狭くなるほどのことはありません。腸をふさぐほど大きくなっている場合、通常はポリープがすでにがん化しています。
大腸がんは早期の段階では症状がほとんどありません。しかし、大腸がんができると腸の環境が悪くなり、ガスが溜まってくるなどの症状が起きます。その結果ガスっ腹になったりすることで、医療機関を受診するきっかけとなることがあります。
以下が大腸がんの初期症状として現れるサインの一例です。
・血便や下血がある
・腹痛がある
・便が細くなる
・残便感がある
・膨満感がある
・嘔吐する
・貧血が起きやすくなる
・下痢と便秘を繰り返す
・体重が減少する など
これらの症状は、大腸がんの発生場所によって異なります。たとえば硬い便が通過する直腸、S状結腸、下行結腸あたりにできる大腸がんでは、腹痛や嘔吐、血便や下血、便が細くなるといった症状が確認できます。
一方で、水状で固まりきっていない状態の便が通過する盲腸や上行結腸、横行結腸部分にできる大腸がんは、便が通過しない症状が出にくいため、かなり進行したがんの状態で発見されることが多く、貧血で発見されることも珍しくありません。
大腸がんはできる場所によってその危険度は異なります。たとえば、お尻から入ってすぐの直腸にできるがんと、結腸(上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)にできるがんでは、5年生存率や予後が大きく異なります。
ちなみに、大腸がんの5年生存率は、国立研究開発法人国立がん研究センターのデータによると、ステージIで83.1%、ステージⅡで75.6%、ステージⅢで68.7%、ステージⅣでは17.0%となっており、直腸がんは結腸がんに比べると各ステージで5~10%ほど生存率が下回ります。
直腸がんの場合、直腸部分には直腸動脈や直腸静脈が通っているため血流が良く、肝臓などにがんが転移しやすいです。そのため、結腸よりも直腸にできるがんのほうが予後があまりよくありません。ただし、がんの症状がでやすいのは直腸で、血便が出たりすることで比較的気づきやすいです。ちなみに、日本人はS状結腸と直腸にがんができやすいと言われています。
大腸がんになるとされるリスク要因には、大きく分けて3つ
・身体的要因
・生活習慣
・遺伝的要因
が挙げられます。
大腸がんになりやすい人の身体的要因としては、肥満が挙げられます。肥満の人は内臓脂肪が過剰に蓄積された状態で、この状態が続くと組織の炎症やインスリン量の増加をもたらすこととなり、ひいてはがんにつながると考えられています。
一般的にBMI値が27を超えた場合には25未満の人に比べ大腸がんリスクが高いということが国立がん研究センターのがん対策研究所の調べでわかっています。
生活習慣も大腸がんのリスクとして大きな影響を及ぼすもののひとつです。
たとえば、運動不足や飲酒、喫煙などはその典型的なもので、大腸がんに限らずさまざまな病気のリスクともなり得ます。さらに、ハムやベーコンなどの加工食品や牛肉、豚肉などの赤身肉の摂りすぎも大腸がんのリスク要因となりますので、過剰な摂取は控えるようにしましょう。
もし、血縁者に大腸がんにかかったことのある人がいる場合は、いない人に比べて大腸がんのリスクが高いとされています。
大腸がんには遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)と、家族性大腸腺腫症(FAP:家族性大腸ポリポーシス)といった遺伝性疾患があります。これらは大腸がんの数%にすぎないごく少数の疾患ですが、この2つの疾患を含めた大腸がんの約35%については、何らかの遺伝的要因が関与しているとされています。
大腸がんは、初期症状がなく進行しないと症状が現れません。そのため、たまたま受診した大腸内視鏡検査で大腸がんが見つかるということがあります。たとえば、痔が切れて便に血が付いてくれたおかげで、便潜血検査が陽性になり、内視鏡検査で偶然大腸がんが発見されたといったケースです。また、大腸内視鏡検査でポリープが見つかり、検査の際にポリープを取ってもらったことで大腸がんのリスクを軽減できるケースもあります。
一般的な検診で行われる便潜血検査はそれほど正確なものではなく、がんがかなり大きくならないと陽性とはなりません。しかし、便潜血検査も大腸がんの早期発見のきっかけとはなるので、やらないよりはやったほうが断然良いです。ただ、最終的には大腸内視鏡検査までしっかりと行うことが重要です。
以上、大腸がんの初期症状について紹介しました。
大腸がんは症状だけに頼って判断してしまうと、既にひどい状態であることの多いがんです。冒頭で述べたように、大腸がんは女性のがんによる死亡数の第1位(2021年)ですし、男性のがんによる死亡数の第2位(2021年)に位置しています。2025年には、大腸がんが男女ともに肺がんを抜いてがんによる死亡数の第1位になるのでは?とも言われており、食生活が欧米化している現在では食事や日常生活にも気をつける必要があります。
40歳を過ぎたら年に1度の大腸内視鏡検査をすることをおすすめします。
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