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Endoscopist Doctor's Knowledge
胃カメラ(胃内視鏡検査)は、正式には上部消化管内視鏡検査とも呼ばれるもので、口や鼻より内視鏡を挿入し、食道や胃、十二指腸までの上部消化管を観察する検査です。これにより、咽頭、食道、胃、十二指腸にできるポリープや炎症、さらにはがんを発見することができるため、40歳を過ぎたら定期的に胃カメラを行うことが推奨されています。
がんの中には自覚症状が出にくいものもあり、胃カメラによってがんの早期発見および早期治療が可能となりますが、実際のところどれくらいの頻度で胃カメラを行ったらいいのかよくわからない人も多いと思います。
今回は、胃カメラ(胃内視鏡検査)はどれくらいの頻度で受けたらいいかについて詳しく説明していきます。
胃カメラをどの程度の感覚で行ったらいいかについては、その人がどれくらい胃がんになる確率が高いかどうかによって異なるとされています。
胃がんについて国立がん研究センターの最新がん統計によると、胃がんと診断された数(2019年)が124,319例(うち男性85,325例、女性38,994例)で、死亡数(2020年)が42,319人(うち男性27,771人、女性14,548人)となっています。昨今は胃がんの早期発見、早期治療がしやすくなっていることもあり、胃がんでの死亡数は減少傾向にあり、5年相対生存率は66.6%(2009~2011年)となっています。
胃がんになるリスクが高いのは、ピロリ菌に感染している(または過去に感染していた)人です。胃がんの原因と考えられているものには、飲酒や喫煙、ストレス、野菜や果物の摂取不足、欧米型の食事などがありますが、最も多いのがピロリ菌感染による萎縮性胃炎が原因による発症と言われています。ちなみに、ピロリ菌に感染していない胃に胃がんができることが稀にあり、近年報告が多くなっており今後注意しなくてはいけない胃がんと考えられています(胃がんの発生はゼロではありません!!)。
除菌薬内服治療によるピロリ菌の除菌成功率は100%ではないため、治療後は除菌の成否を判断することが重要となります。よって、除菌薬内服によりピロリ菌を退治して炎症が治まっている状態かどうかを確認することが必要です。その方法としては、「尿素呼気試験」が正確性の高い検査と言われています。この尿素呼気試験とは、診断薬を服用し、服用前後の吐き出した呼気を集めて診断する簡単かつ精度の高い診断法です。1次除菌もしくは2次除菌ともに除菌判定をこの尿素呼気試験で行うと安心かつ確実です。
ピロリ菌の除菌判定には基準値があって、尿素呼気試験のカットオフ値(正常と異常の分かれ目)は2.5‰以下で設定されています。除菌判定が~1.5‰程度の人であればピロリ菌の除菌が成功しているとみてよいですが、除菌判定が1.5~2.4‰の場合はグレーゾーンとなり問題が残ります。この状態ではピロリ菌がわずかにでも残っているかもしれないので、判定を保留して翌年以降できちんとピロリ菌が退治できているかどうか、胃カメラで粘膜の炎症具合を確認するようにしましょう。
ピロリ菌の除菌が成功していれば問題ありませんが、ごく稀ではありますが再度ピロリ菌の感染を疑うものがないかどうか、胃カメラだけでなく組織の検査などによって確認する場合もあります。翌年以降も除菌が成功しているかどうかを確実なものとするために、定期的な胃カメラは非常に大事となります。
ピロリ菌が除菌されたかは、尿素呼気試験によって除菌成功と判断されればほぼ再発はないと思われます。再感染された人は除菌判定でグレーゾーンだった人、また除菌しきれなかった人を言っていることが多く、ピロリ菌の再感染率は0.2~1%程度なので、日常臨床ではピロリ菌再感染の可能性は低いです。
今回のテーマでもある胃カメラを受ける間隔についてですが、専門医の中でも間隔についてはばらつきがあって、短くてよいという人も長くても問題ないといった人もいます。ただし、除菌後の人に関しては、胃がんの発生リスクを考えると、1年に1回は胃カメラを受けるのが望ましいとされています。その理由として、ピロリ菌を除菌できたとしてもピロリ菌がいたという事実は変わらないためです。近年、学会からも除菌してから10年以後に胃がんが発生していると報告がでてきています。
問題となるのは、ピロリ菌による炎症により、胃の粘膜に傷がついて、遺伝子に傷が付くことにあります。ピロリ菌が持っていたタンパク質によって炎症が起き、異常な細胞が発生することがあるのですが、がん細胞は遺伝子により2~10個程度の傷が付くことで発生します。
ピロリ菌自体ががんを作り出すわけではありませんが、ピロリ菌によってできた炎症から胃がんが発症することを考えると、1年に1回はしっかり胃カメラを行うのが安心と言えるでしょう。
ただし、1年に1回の胃カメラは多いという人もいらっしゃいます。もし1年に1回ピロリ菌の除菌をされた人がしっかりと胃カメラに訪れることになってしまうと、実際のところ検査機関が足りないといった問題が発生します。そのため、幅を持たせて最長5年に1回は胃カメラを受けましょう、という人もいるくらいです。
また、定期健診を受けても検診の翌月にがんが発生する場合もあるのであまり意味がないという人もいます。通常ピロリ菌を除菌した後のがんであれば、一般的にでてくるのは分化型の腺がんと言われる萎縮性粘膜にでてくる赤いがんで10mm前後と小さいものが多く、その程度のがんであればそこまで発育が早くないため、1年後に胃カメラを行ったとしても十分早期胃がんとして発見できる確率は高いと言えます。
しかし全国レベルの報告で見ると、前回の胃カメラから1年以内に進行が早く腹膜播種が起こりやすいスキルス胃がんが発見されるケースもあるようですので、進行がんが出ないとは必ずしも言えません。よって早期胃がん、またスキルス胃がんのような進行が早いがんのリスクも踏まえると、1年に1回の胃カメラを受診するので十分と言えるでしょう。
早期胃がんの内視鏡治療後の場合、異時性再発(1年以上経過後に別の場所に発生)のリスクが、北里大学病院の統計データだと約10%程度となっています。これは早期胃がんだった人を対象としたデータではありますが、10人に1人が翌年以降2個目、3個目とがんが出てくるリスクを持っているということになります。
1年に1回の健康診断や人間ドックでチェックするのであれば、消化器病専門医や消化器内視鏡専門医のクリニックでがんが発生してこないかしっかり見張る確認作業を行いましょう。早期がんは症状があって見つかるというものではないので、自身の意思で医療機関に行き、胃カメラ検査を受けることが大事になってきます。
以上、胃カメラ(胃内視鏡検査)はどれくらいの頻度で受診すべきかについて紹介しました。
胃がんは初期段階で自覚症状が出ることがほぼありません。症状があって見つかるのは進行胃がんであり、食べ物が通過しないようなスキルス胃がんや胃の出口に近い大きながんなど、症状があってからの胃がんでは手遅れです。胃酸過多や胃が痛いということで、たまたま検査した際に早期がんが発見されるケースは多いです。
ちなみに、胃がんが進行してくると
・胃の痛み
・違和感
・胸やけ
・嘔吐
・食欲不振
・血便
などの自覚症状が現れてきます。そして食事がつかえる、体重が減少するといった場合には進行胃がんである可能性がでてきます。
過去にピロリ菌に感染したことがある人は胃がんのハイリスク群に入っているということを踏まえ、リスクを軽減するための安全策として、1年に1度は胃カメラを受診するように心掛けましょう。
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