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Endoscopist Doctor's Knowledge
厚生労働省の発表する「令和4年(2022)人口動態統計(確定数)の概況」によると、日本人の死亡原因の第1位はがん(悪性新生物)となっています。昭和56年以降ずっと第1位となるがんですが、全死亡者に占める割合は 24.6%となっており、実に4人に1人ががんで亡くなっていることになります。医学の進歩によりがんで亡くなる人が減ってきたとは言われるものの、最終的にがんが原因で亡くなる人が多いという現状は揺らいでおりません。
では、日本人の場合どのようながんで亡くなる人が多いのでしょうか?また、男性と女性でがんの死亡原因は異なるのでしょうか?
今回は、日本人女性のがん死亡原因第一位とされる「大腸がん」について、また大腸がんの要因ともなる「大腸ポリープ」についても詳しく見ていきます。
国立がん研究センターの最新がん統計によると、2021年においてがんで死亡した人は381,505人(男性222,467人、女性159,038人)、そのうち男性のがん死亡数第1位は「肺がん」、女性のがん死亡数の第1位は「大腸がん」となっています。5位までの順位は以下の通りです。
引用参照:最新がん統計「がん死亡数の順位(2021)」
URL: https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html
なお、大腸を結腸と直腸に分けた場合には、男性は結腸が第4位で直腸は第7位、女性は結腸が第3位で直腸は第10位となっています。
これを見ると、男女合わせた死亡原因第1位は肺がん(男性の1位も肺がん)ですが、女性の第1位は大腸がんとなっており、大腸がんは女性に多いがんと言えます。なんとなく女性の場合は、女性特有の乳がんや子宮がんといったがんにかかるイメージが強いと思われがちですが、実は大腸がんが最も危険な病気なのです。
大腸がんとは、大腸の中でも結腸・直腸に発生するがんです。大腸がんになるケースは主に2つあり、まず1つは「腺腫」という良性ポリープががん化してできるもの、もう1つは正常な粘膜細胞から直接発生するものがあります。日本人の場合には、大腸がんの約70%が結腸と直腸に発生すると言われています。
大腸がんは、初期の段階ではほとんど自覚症状がありません。そのため、進行してはじめて気づくという人も多いのが特徴です。代表的な症状としては、血便、便秘や下痢を繰り返す、残便感、便が細くなるなど排便時に確認ができるものもあれば、貧血や腹痛、嘔吐などによっても自覚症状を感じる場合もあります。
一般的にがんの進行度についてはステージで表されます。このステージについては、国際的基準となる「TNM分類」によって決定されます。TNMとは、壁深達度(T因子)、リンパ節転移(N因子)、遠隔転移(M因子)の3つの因子を組み合わせたものです。
大腸がんのステージは0からⅣまでの全5段階で表されますが、各ステージは以下のような内容によって分けられています。
ステージ0:がんが大腸粘膜内に留まっている
ステージⅠ:がんが固有筋層(大腸の壁の筋肉層)までに留まっている
ステージⅡ:がんが固有筋層を超えて浸潤している
ステージⅢ:がんの深達度に関わらず、リンパ節への転移が認められる
ステージⅣ:がんの深さやリンパ節転移に関わらず、他臓器への転移がみとめられる
ステージ0からⅡまではがんが大腸の中に留まっている状態です。当然ながらステージが低いほどがんの治療はしやすく、治る可能性が高くなります。一方でステージが高くなると、がんが広範囲にわたり治療が難しくなってしまいます。先ほど初期段階では自覚症状がほとんどないとお伝えしましたが、気づいた時にはかなりステージが進行しているケースもありますので、定期的な検診は欠かさず行うようにしましょう。
大腸がんは年齢を重ねるにつれて発症しやすい病気です。40代から徐々に発症率が上昇し、50代に一気に増加する傾向にあります。そのような年齢以外にも、
⚫︎生活習慣
⚫︎身体的特徴
⚫︎遺伝的要因
などが影響しているとも言われています。
日本人も食生活の欧米化により、牛肉や豚肉、加工肉といった肉類の摂取が増加し、がんのリスクが高まっています。特に女性の場合は食生活の欧米化が大腸がんのリスク上昇に大きな影響を及ぼしているという指摘もあります。それ以外にも、飲酒や喫煙といった習慣が日常化している人は大腸がんのリスクは高くなりますので、過度なアルコール摂取や喫煙は控えるようにしましょう。
大腸がんだけに限りませんが、肥満傾向にある人も大腸がんになりやすいです。BMI数値が30以上の人の場合には25未満の人に比べると大腸がんリスクが男性で約1.5倍に、女性で約1.3倍になるといういうデータもあります。肥満の大きな原因ともなる暴飲暴食や運動不足を解消して健康的な身体を作ることは、大腸がんにかからないためにも必要不可欠です。
大腸がんの中には、遺伝性非ポリポーシス大腸がんと家族性大腸腺腫症(家族性大腸ポリポーシス)というものがあります。どちらも遺伝性疾患です。血縁者の中に大腸がんにかかったことがある人、大腸ポリープを発症している人がいる人も大腸がんリスクがかなり高いと思っておきましょう。
大腸がんは大腸ポリープからなることも多い病気です。そのため、大腸ポリープを大腸内視鏡検査の際に切除することは大腸がんの予防にもなります。ある意味、
「大腸ポリープを取ることは究極のがん予防」
と言えるかもしれません。
大腸ポリープとは、大腸の表層の粘膜の一部分がイボのように隆起することによってできたものを総称して言います。大腸ポリープは「腫瘍性ポリープ」と「非腫瘍性ポリープ」の2つに分けられ、このうち腫瘍性ポリープに腺腫性がんのリスクがあります。一方で非腫瘍性ポリープはがんのリスクは比較的少ないと言われます。
大腸ポリープは、大腸内視鏡検査中に切除することができます。5mmを超えるポリープは切除することが推奨されていますので、発見したら速やかに切除して大腸がんのリスクを低減させておきましょう。
男性と女性を比較した場合、ポリープが多く発生するのは男性です。これには生活習慣が影響しており、肥満の人、がんができやすい食習慣のある人は、大腸ポリープができやすいと言われています。また、便秘になりやすい女性も大腸ポリープが多い傾向にあります。
以上、女性のがん死亡率第1位となる大腸がんおよび、大腸がんのリスクともなり得る大腸ポリープについて説明してきました。
大腸がんは早期に発見することができれば、5年対生存率が男性で71.7%、女性で71.91%と比較的高い生存率となっています。大腸がんの予防のためには、生活習慣の改善は絶対に必要ですが、定期的ながん検診の受診はさらに重要です。なかでも大腸内視鏡検査は、大腸がんや大腸ポリープの早期発見に有効です。ぜひ積極的な大腸内視鏡検査の受診をおすすめします。
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