MENU
閉じる
おすすめ内視鏡豆知識
Endoscopist Doctor's Knowledge
最近では胃がん、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因となるピロリ菌の認知度が高まっており、人間ドックや検診での血液検査にピロリ菌検査の項目を追加する人が増えています。ピロリ菌は、胃の粘膜に生息し、毒素を出すことによって胃に障害をもたらします。その結果、胃がんや胃潰瘍などの原因となる危険因子です。ピロリ菌に一度でも感染してしまうと、いくら除菌しても胃がんリスクがなくなることがないため、その後の定期的な検診が欠かせません。
今回は、もしピロリ菌陽性と言われたらどうすればよいか?ピロリ菌感染の原因や感染によりもたらされる病気、ピロリ菌の有無を判別するための検査方法について詳しく説明していきます。
ピロリ菌は、通常であれば強酸のため生息が難しい胃の中において、「ウレアーゼ」という酵素を利用して胃酸を中和し、アルカリ性とすることにより生息できる細菌です。ピロリ菌の体長はわずか4ミクロン(4/1000㎜)程度で、4~8本弱の鞭毛と呼ばれるヒゲのようなものがヘリコプターのように回転しながら移動するため、正式名をヘリコバクター・ピロリ菌と呼んでいます。
ピロリ菌の感染経路については不明点も多いのですが、経口感染が主な要因と考えられてます。母親など家族からの感染、幼稚園や保育園での感染、昔の日本においては井戸水や生水の摂取による感染などです。現在の日本では上下水道がしっかりと整備されているため、井戸水からの感染報告はほとんどありません。
ピロリ菌に感染したとしても、多くの場合自覚症状はほとんどありません。長期にピロリ菌感染をした状態が続いてしまうと、知らぬ間に胃の機能は大きく低下します。もし腹痛や嘔吐、飽満感、体重減少、食欲不振などの症状が現れた場合には、以下のような病気にかかっている恐れがあります。
ピロリ菌に感染し、胃に炎症が起きた状態が長引くと感染部位が拡大し、最終的には慢性胃炎をもたらします。この慢性胃炎はヘリコバクター・ピロリ感染胃炎とも呼ばれます。慢性胃炎の症状が続くと、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、萎縮性胃炎などを引き起こすことがあり、最悪の場合胃がんに発展する恐れがあります。
萎縮性胃炎とは、ピロリ菌によって生じる慢性胃炎がさらに進行し、胃液や胃酸を分泌する正常な組織が減少したり、胃粘膜が薄くなったりして萎縮した状態のものを言います。萎縮性胃炎にかかると胃の機能が大きく低下しますが、胃液の分泌が不十分になったり、食欲不振や胃もたれ、ゲップ、胸焼けといった症状が起きることがあります。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍といった消化性潰瘍の原因として、ストレスや生活習慣、飲酒・喫煙といったものが複合し合って発症することもあるのですが、ピロリ菌の感染によっても胃潰瘍・十二指腸潰瘍が起きる場合があります。
現在のところ、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の発症や再発はピロリ菌の感染に関係していることがわかっています。ちなみに消化性潰瘍の患者のピロリ菌感染率は、胃潰瘍で70~80%、十二指腸潰瘍で90%以上とも言われており、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因のほとんどがピロリ菌によるものだとされています。
胃潰瘍とは、何らかの原因によって胃の粘膜に傷ができたことによって、胃液に含まれる強酸やペプシンがその傷を攻撃し、さらに深い粘膜の下にある粘膜下層や筋層までをも傷つけてしまう状態のことを言います。胃潰瘍は以前だと男性に多い病気とされていましたが、最近では50代の女性の発症も増えているようです。
症状としては腹痛や吐き気、嘔吐、食欲不振、体重減少、背中の痛みなどが自覚症状として現れます。胃潰瘍の症状は、胃がんをはじめとした消化器疾患と似ているため、上記の症状が続くようならすぐに医療機関にて適切な診断を受けましょう。
十二指腸潰瘍とは、胃潰瘍同様に胃酸が十二指腸の粘膜を傷つけることで潰瘍ができたものを言います。十二指腸潰瘍は胃潰瘍に比べると症状がわかりにくいため、治療を行わず放置していると壁に穴が開いてしまい出血してしまうこともありますので注意しましょう。
胃がんは、胃の内側を覆っている粘膜細胞ががん化したものです。ピロリ菌の感染や飲酒、喫煙、欧米化した食生活、運動不足などの生活習慣がリスク要因となると言われています。
胃の長期にわたるピロリ菌の感染により、胃の粘膜が萎縮した状態が続くと、胃の粘膜が腸の粘膜のようになる腸上皮化生という状態になることがあります。この腸上皮化生は非常に胃がんの発症リスクが高いとされています。
他にもピロリ菌感染によって発症する胃の病気としては、胃過形成性ポリープ、胃マルトリンパ腫、機能性ディスペプシアなどがあります。
もし、人間ドックや検診の血液検査の結果「ピロリ菌陽性」と言われたら、それは胃の中でピロリ菌に感染している可能性があることを意味します。血液検査では、血液を利用してピロリ菌の血清抗体価を測定します。検査にて血清抗体価が3U/ml未満の人は「陰性」、3.0~9.9U/mlが「陰性高値」、10U/ml以上の場合には「陽性」となります。
学会でも注意喚起がなされているのですが、血清抗体価は現在のピロリ菌感染を表しているものではありません。また、過去にピロリ菌の除菌をしたことがある人は、数値が高くても除菌できていないというわけではありません。除菌が成功したあと何年にもわたり数値が高い人もいます。
そのため、除菌が成功しているかどうかよくわからないという人は、血液検査の他、息を吐くだけでできる「尿素呼気試験」もしくは「便中ピロリ菌抗原測定法」を行ってみましょう。
さらに血液検査で初めてピロリ菌陽性または陰性高値と言われた人は、胃内視鏡検査を受けることでより詳しい状況が把握できます。
現在ピロリ菌に感染しているかどうかを調べるために行われる検査の中でも最も精度が高いとされている検査が「尿素呼気試験」です。胃内視鏡を使わないため、楽に簡単に行える検査となります。
検査方法ですが、検査薬となるユービット錠を服用する前に呼気採取バッグを口元にあてがい、呼気を採取します。その後検査薬を服用し、体の左側を下にして5分程横になります。5分経ったら座って15分程待ちます。最後に別の呼気バッグを使って再度呼気を採取します。
検査の結果ピロリ菌に感染していると尿素が分解されるため呼気に二酸化炭素が多く検出されますが、ピロリ菌に感染していない場合には二酸化炭素の検出がほとんど起こりません。
便中ピロリ菌抗原測定法は、精度が高い割に体への負担が少ないピロリ菌検査法です。専用の容器に便を採取したのち、診断キットを使って判定を行うことができます。
胃内視鏡検査は、食道や胃、十二指腸を小型の細長いスコープを体内に挿入して観察する検査です。胃がんや胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃ポリープの早期発見、ピロリ菌の有無などに非常に有効な胃内視鏡検査ですが、現在は鎮静剤を使用して検査が行われるため苦痛や負担がかなり軽減されました。ですから「胃カメラは怖い」と思っている人は鎮静剤を用いた胃内視鏡検査を定期的に受けることをおすすめします。
以上、ピロリ菌陽性と言われたらどうすればよいか?ピロリ菌感染の原因や感染により引き起こされる病気、ピロリ菌の有無を判別する検査方法などについて紹介してきました。
もし人間ドックや検診時に「ピロリ菌陽性」と言われたら、ピロリ菌が胃の中に現在いる可能性が高いということを意味しています。ピロリ菌は、胃がんや胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの病気のリスクが高いため、放置すると非常に危険です。
少しでも胃に違和感があるなど自覚症状がある際には、速やかに医療機関を受診するようにすることが健康への第一歩です。
「癌にならない腸活実践メルマガ講座」では、がんで亡くなる人・苦しむ人を一人でも多く減らすために日常生活の中で実践できる
・免疫を上げる方法
・正しい腸活の知識
・腸内環境とお肌の関係
・健康的なダイエット方法
・乳酸菌のすごい効果
などを、腸の専門医が毎日メールでお届けいたします。
免疫力をアップして、いくつになっても健康的な毎日を過ごしたい方におすすめの内容になってますので、気になる方はぜひ記事下のバナーをクリックしてお申し込みください。
↓↓