MENU
閉じる
おすすめ内視鏡豆知識
Endoscopist Doctor's Knowledge
食道や胃などの消化管に食べ物以外の異物が入ることを「消化管異物」と言います。消化管異物は乳幼児または認知症を患っている高齢者に多く見られ、食べ物と誤認識し飲み込んでしまうことで起きるものとなっています。通常は自然に消化管を通過して便として排出されるものの、大きいものや尖ったものなどを飲み込んだ場合には危険が伴うこともあり、適切な処置が必要となります。
今回は、乳幼児や高齢者に多い消化管異物とはどのようなものか、また場所ごとの症状について、医療機関における対処法についても詳しく説明していきます。
繰り返しになりますが、消化管異物は本来身体に入ってこないはずの食べもの以外の異物が、食道や胃、小腸、大腸といった消化管に入り込んで滞留している状態のことを言います。
たとえば、「食べものと間違ってボタンや電池を飲み込んでしまった」「大きな魚の骨など食べものの一部が完全に消化できないものが胃に留まっている」などがこれに該当します。異物によっては閉塞や穿孔を引き起こす危険性があります。
消化管異物としてみられるものに、
⚫︎ お金
⚫︎ ビー玉
⚫︎ 電池
⚫︎ 磁石
⚫︎ 小石
⚫︎ 玩具
⚫︎ 自分の抜けた歯
⚫︎ 銀歯などの詰め物
⚫︎ 錠剤薬の包装(PTP)
などがあります。それ以外に食べものとして食した魚に付随する骨なども当てはまります。
消化管異物は、異物内容または異物が留まっている場所によって症状が異なります。ここでは食道、胃、腸において起きる症状を細かく分類しました。
消化管異物が最も起こりやすいのが、口から入った異物が最初に通る消化管である食道です。食道は長さが25〜30cm程度、厚さが4mmほどの細長い管状の消化管ですが、3カ所ほど狭くなっている「生理的狭窄部」と呼ばれる箇所があります。具体的には、第一狭窄部が食道の入り口付近(咽頭に連なっている箇所)、第二狭窄部は中央部分(大動脈弓と左気管支の交わった部分)、第三狭窄部が出口部分(横隔膜を貫通する部分:横隔狭窄部)にあたります。この狭窄部の中でも第一狭窄部で消化管異物が起こりやすいと言われています。
食道における消化管異物がある場合には、飲食物を飲み込んだ際の痛みや違和感、胸の痛みなどが起こることがあります。もし食道で閉塞を起こした場合には、唾液の分泌が過剰になったり、口腔内分泌物を飲み込むことが難しくなります。なかには、窒息症状を起こすような場合もあります。
食道を通過して胃に到達した異物の約8割から9割は消化管を普通に通過しますが、1〜2割程度は何らかの医療的処置が必要となります。ちなみに外科手術が施されるのは全体の約1%程度にすぎませんが、たとえば錠剤薬の包装(PTP)などを飲み込んでしまったことが明らかな場合、異物内容によっては穿孔のリスクもあることから、医療機関を受診するのが賢明です。
食道通過後の消化管異物はほぼ無症状のため、異物を飲み込んだことすら忘れてしまうこともありますが、胃内で穿孔が起きると、腹痛をはじめとした腹膜炎が生じる場合があります。
腸内に到達した異物のほとんどは、問題なく便として排出されます。ただし、どのぐらいで排出されるかは異物にもよりますが、長い場合には数週間かかることもあるようです。
もしも腸管が閉塞した場合には、嘔吐や腹痛、腹部膨隆などが生じることがあります。
消化管異物が確認できた場合、通常であれば医療機関でも経過観察が取られることが多いものの、のどに異物が刺さったと感じた場合には耳鼻咽喉科を、異物を飲み込んでしまった場合には食道外科や消化器内科のある医療機関を受診するのがよいでしょう。
医療機関では、消化管異物が起きている場所によって以下のような検査・診断を行います。
食道内に消化管異物の疑いがある場合には、異物の位置を確認するためまずはレントゲン検査やCT撮影を行うのが一般的です。また、画像検査では発見できないものの、嘔吐や意識混濁など消化管異物によって生じた症状がみられる場合には、胃内視鏡検査を行うことがあり、上部消化管内視鏡で観察しながら異物摘出を行うことができます。
胃内または腸内に消化管異物がある場合には、食道異物同様レントゲン検査やCT撮影により状況を確認します。多くの場合は胃内視鏡検査により異物を取り除きます。なお、異物が大きい、尖っている異物など上部消化管内視鏡での摘出が難しい場合には、外科的手術が行われる場合もありますがこれは非常に稀なケースです。なかでも子供が誤飲してしまうこともあるボタン型リチウム電池の場合などは、摘出が遅れた場合に穿孔を引き起こしたり、内壁に張り付いた場合には化学やけどを起こす場合がありますので、速やかな処置が必要となります。
上記のように内視鏡による異物摘出が行われるもの以外に、経過観察措置が取られることもありますが、異物が粘膜を損傷させた結果出血が見られるような場合には、内服治療が行われることもあります。
消化管異物を引き起こさないために、特に乳幼児の場合は誤飲を防止する必要があります。直径にして4cm以下のものは3歳未満の子どもの手の届くところに置かないような配慮が必要です。なお、認知症のある高齢者も同様です。
実は胃における一番多い消化管異物は、意外かもしれませんが「アニサキス」です。アニサキスとは、アジ・サバ・イカなどに寄生する寄生虫のこと。魚介類の内臓に寄生しているアニサキスの幼虫は、鮮度が落ちると内臓から筋肉に移動すると言われています。アジ・サバ・イカなどを加熱不十分または生で食した場合、アニサキスが胃の粘膜に潜り込み、胃の激痛の原因となってしまいます。アニサキス自体は、胃内視鏡検査で確認することさえできれば、鉗子にて除去することが可能です。
良く噛んで食べればアニサキスを殺せると思っている方もいるかもしれません。しかし、アニサキスは長さ2〜3cm、幅は0.5〜1mmで糸のように細く、噛むことはきわめて難しいです。また目視しても白色透明なため、自分で見つけるのも難しく、良く噛めばアニサキスが殺せるというのは迷信でしかありません。
アニサキスの予防には、加熱または冷凍が非常に有効です。加熱する場合70℃以上または60℃なら1分、冷凍の場合には-20℃で24時間以上冷やすことが有効となります。
以上、乳幼児や高齢者に多い消化管異物の概要や、場所ごとの症状、医療機関での検査・治療方法などをお伝えしました。
消化管異物の症状や治療方法は、異物がどこにあるのか、それが何なのかによっても違ってきます。通常は、食道を通過したのち閉塞や穿孔が起こらなければ、便として自然排出されるまで経過観察が取られるのが一般的ですが、なかには上部消化管内視鏡による摘出が行われることもあります。
なお、ボタン型電池や錠剤薬の包装(PTP)の誤飲など、かなりの危険が伴う場合には、まれに開腹手術等の外科的手術が行われる場合もあります。自身が誤飲した場合には自覚症状がありますが、乳幼児や高齢者にその疑いがある場合には、迷わず医療機関を受診し、医師の判断を仰ぎましょう。
「癌にならない腸活実践メルマガ講座」では、がんで亡くなる人・苦しむ人を一人でも多く減らすために日常生活の中で実践できる
・免疫を上げる方法
・正しい腸活の知識
・腸内環境とお肌の関係
・健康的なダイエット方法
・乳酸菌のすごい効果
などを、腸の専門医が毎日メールでお届けいたします。
免疫力をアップして、いくつになっても健康的な毎日を過ごしたい方におすすめの内容になってますので、気になる方はぜひ記事下のバナーをクリックしてお申し込みください。
↓↓