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日本人の腸内細菌のタイプは5つ?タイプ別病気リスクと改善法

  • 腸内環境

腸内環境は健康や長寿に影響している、という研究が長年行われてきています。どういった腸内細菌が多いかによって腸内環境が左右されることから、特に食事習慣との関連性が注目されています。最近の研究で、日本人の腸内環境は、食事の傾向によって5つのタイプに分かれ、それが健康や疾患の原因につながる可能性があることがわかりました。今回は日本人に多い腸内環境5つのタイプと、どうすればよりよい腸内環境にできるかをご紹介します。

日本人の腸内環境の特徴

日本人の腸内環境の特徴は、世界的にみて特殊といわれています。世界12カ国の人々の腸内細菌叢(腸内フローラ)を国際的に調べたところ、日本人には突出して善玉菌であるビフィズス菌が多いことがわかりました。また、調査が行われた12カ国のなかで、アジア圏は日本と中国だけでしたが、人種も近く食習慣もあまり変わらないにもかかわらず、中国人にはビフィズス菌が少なく、腸内環境はむしろアメリカ人に近いということもわかりました。

そのほか、日本人の腸は炭水化物やアミノ酸を栄養素として代謝する能力や、また海苔やワカメといった海藻を分解する酵素遺伝子をもつことなどがわかっています。日本は世界有数の長寿国ですが、先進国のなかで肥満の人の割合が少ないことでも知られています。腸内環境と、長寿や健康との関係が注目されています。

分析から分かった日本人の腸内環境5つのエンテロタイプ

さらに、日本人の腸内細菌約1,800人分を分析した最新の研究によると、5つの腸内環境のタイプに分かれることがわかりました。なお、そのように腸内環境の傾向の違いをタイプ別に分類したものを「エンテロ(=腸)タイプ」と呼びます。

・タイプA

肉を好み、高たんぱく・高脂肪の食事が多いタイプ。肥満の原因といわれる、ルミノコッカス属という細菌が多いとされている。

・タイプB

3大栄養素であるたんぱく質・脂質・炭水化物(糖質)のバランスがよい食事タイプ。肥満を防ぐといわれるバクテロイデス属や、炎症を抑える酪酸を作るフィーカリバクテリウム属が多いとされている。

・タイプC

炭水化物に偏った食事が多いタイプ。肥満を防ぐバクテロイデス属は多いものの、炎症を防ぐフィーカリバクテリウム属は少ないとされている。

・タイプD

高たんぱく・高脂質に加え、砂糖の摂取が多い食事タイプ。いわゆるビフィズス菌であるビフィドバクテリウム属が多いものの、タイプA(高たんぱく・高脂肪)に近い腸内環境。

・タイプE

野菜や魚が多く、脂質が少ないヘルシー型の食事タイプ。お米を長期に渡って食べている人に多いといわれるプレボテラ属という細菌が多いとされている。プレボテラ属食物繊維の分解にかかわっていると考えられている。

エンテロタイプ別にどんな病気リスクがあるか

こうした食生活と腸内細菌による5つのタイプは、さまざまな病気のなりやすさとも関連していることが分かりました。5つのタイプのうち、もっとも病気になりにくいのがタイプE(野菜や魚が多いヘルシー食)、次にタイプB(バランスのよい食事タイプ)と考えられています。

逆に、いちばん病気になりやすいと考えられたのが、タイプA(高たんぱく・高脂肪タイプ)です。タイプEの人に比べて、心疾患にかかる人は14倍、糖尿病にかかる人は12.5倍、高血圧にかかる人は11倍多いという調査もあります。ほかにも神経疾患や肝疾患などさまざまな疾患のリスクが高くなると考えられています。

またタイプC(炭水化物多めタイプ)は炎症性腸疾患(IBD)、タイプD(高たんぱく・高脂質・砂糖が多いタイプ)は肝疾患などになるリスクが高いと考えられています。

病気になりにくいタイプEやタイプBは、古くからの日本人の食習慣の内容に近いものです。先にも触れたように、日本人はもともとビフィズス菌が多いといった特徴があります。日本人の伝統的な食習慣と腸内環境、ひいては長寿や健康との関係が示されています。

腸内環境をよいタイプにするための生活習慣

腸内環境をよいタイプにするためにはどうすればいいのでしょうか。それにはまず、腸内に多様な菌が生きられるよう、腸内のバランスを整えることが重要です。腸内環境が悪い人は腸内細菌の多様性が失われて、悪玉菌にバランスが傾いてしまっている傾向があります。こういった人は善玉菌を増やす生活習慣を意識することが大切です。

・プロバイオティクス

まず、生きた善玉菌を直接摂取する方法があります。これをプロバイオティクスといいます。プロバイオティクスには以下のような条件があります(※3)。

1.安全性が保証されている

2.もともと宿主の腸内フローラの一員である

3.胃液、胆汁などに耐えて生きたまま腸に到達できる

4.下部消化管で増殖可能である

5.宿主に対して明らかな有用効果を発揮できる

6.食品などの形態で有効な菌数が維持できる

7.安価かつ容易に取り扱える

具体的にはビフィズス菌、乳酸菌などの善玉菌を体内に取り入れることです。食品ではヨーグルト・乳酸菌飲料・納豆・漬物などに含まれています。ただし、ビフィズス菌や乳酸菌は腸内にある程度の期間は存在しても、住み着くことはないとされているため、毎日続けて摂取し、腸に補充することがすすめられています。乳酸菌サプリなども上手に利用すると、継続的に摂取しやすくなるでしょう。

・プレバイオティクス

次に、腸内にもともと存在する善玉菌を増やす効果がある食品をとる方法もあります。これをプレバイオティクスといいます。次のような条件を満たすものが、プレバイオティクス(腸内細菌叢をよくする食品)とされています(※4)。

1.消化管上部で加水分解、吸収されない

2.大腸に共生する一種または限定された数の有益な細菌(ビフィズス菌等)の選択的な基質であり、それらの細菌の増殖を促進し、または代謝を活性化する

3.大腸の腸内細菌叢(フローラ)を健康的な構成に都合の良いように改変できる

4.宿主の健康に有益な全身的な効果を誘導する

具体的にはオリゴ糖や食物繊維などが該当し、これらの成分は野菜類・果物類・豆類などに多く含まれています。それらは消化・吸収されることなく腸に運ばれ、腸内にもともと存在する善玉菌に餌を与えて、その数を増やそうとするものです。オリゴ糖は、大豆・たまねぎ・ごぼう・ねぎ・にんにく・アスパラガス・バナナ・海藻などに含まれています。同時にこれらの食品は水溶性食物繊維でもあり、腸内細菌を育てるのにも重要な作用をします。

日本人の食物繊維の平均摂取量は、1950年頃には一人あたり一日20gを超えていましたが、最近の報告によれば、平均摂取量は1日あたり14g前後と推定されていて、減少傾向にあります。厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、一日あたりの食物繊維摂取の「目標量」は、18~64歳で男性21g以上、女性18g以上となっていますので、本来必要な量の6〜7割程度しかとれていないことになります。また、食物繊維が必要な量とれているかどうかは「1日に1回、規則的に排便がある」ことがひとつの目安になります。腸内環境を整えるため、食事とともに、しっかりと排便があるかどうかを意識することも重要です。

まとめ

今回は、日本人の腸内環境は5つのタイプに分かれること、それは食事との間に強い関連性があって、さまざまな病気のなりやすさとも関係しているということについてみてきました。自分の食習慣を見直すことで、よりよい腸内環境、さらには健康の維持や病気の予防につなげることができると考えられます。特に古くからの日本人食習慣には、長寿や健康へのヒントが隠されています。意識して野菜や魚を中心とした、バランスのよい食事をとることが大切です。

【参考文献】

※1)Tomohisa Takagi et al: Typing of the Gut Microbiota Community in Japanese Subjects. Microorganisms 2022, 10(3), 664.
https://www.mdpi.com/2076-2607/10/3/664/html

※2)厚生労働省e-ヘルスネット「腸内細菌と健康」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html[

※3)公益財団法人 腸内細菌学会 用語集「プロバイオティクス(probiotics)」
https://bifidus-fund.jp/keyword/kw030.shtml

※4)公益財団法人 腸内細菌学会 用語集「プレバイオティクス(prebiotics)」
https://bifidus-fund.jp/keyword/kw022.shtml

※5)厚生労働省e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html

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