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Endoscopist Doctor's Knowledge
日本は世界的に見ても寿命が長い国であり、WHOが公開している「World health statistics 2023: monitoring health for the SDGs, sustainable development goals」によれば平均寿命は84.3歳、男性の平均寿命が81.5歳、女性で86.9歳となっています。
人生100年時代が叫ばれるようになった昨今では、上記のように長寿の人が数多くいらっしゃる一方、さまざまな要因から若くして亡くなってしまう人もいます。しかし、長生きできない人の特徴を紐解いていくと、いくつかの兆候や習慣があることがわかってきました。
今回は、寿命の短い人に良く見られる兆候や、短命の人にありがちな避けるべき生活習慣について詳しく説明していきます。
ここからは長生きできない人に良く見られる身体的な特徴として
⚫︎赤ら顔
⚫︎冷え性
⚫︎慢性的な頭痛
⚫︎転びやすい&つまづきやすい
⚫︎片足立ちができない
⚫︎筋力がない
⚫︎低体温
以上の7つについて紹介していきます。
「赤ら顔」の人は健康に注意しなければならない体質の人です。昔は顔が赤いと「血行がいいので体に良いのでは」と思われていたものです。しかし実際は逆で、血液の流れが悪くなり、血管が拡張して顔が赤く見えるのが赤ら顔の特徴とされています。
漢方の世界や東洋医学だと「瘀血」(おけつ)と呼ばれ、血の流れが悪くなり滞っている状態です。西洋医学的に言えば、コレステロールや中性脂肪に加えて尿酸や尿素窒素、老廃物がたくさん溜まり、血液がドロドロになっている。これらが外に出ていかなくなると、血管を拡張し流れを良くしようとした結果、赤ら顔になってしまうわけです。ちなみに赤ら顔の人は手のひらも赤いことが多いと言われています。
血液がドロドロになると、血管が詰まりやすくなるため、心筋梗塞や脳梗塞、脳出血など血管系の病気・狭心症などにつながってきます。
なんとなく顔が赤いという人は、血管系の病気になりやすかったり、がんにもなりやすい傾向にあります。もし家族にそのような人がいる場合は、日頃から注意しておくとよいでしょう。また、肝臓が悪い人も要注意です。
女性は冷え性の人が多いです。その理由としては、男性より筋肉量が少ないこと、月経があるため鉄分が欠乏しがちなこと、皮下脂肪が男性より多いことなどが挙げられます。
冷え性の人は、先ほどの赤ら顔の人と逆に血管を収縮させてしまうことで血液の流れが悪くなってしまう現象が起こります。その結果、心筋梗塞や脳梗塞、狭心症、がんなどを引き起こしやすくなってしまう危険性があります。
冷え性の予防としては、「暖かい飲み物を意識して摂る」「ダイエットでの食事制限を控える」「湯船に入る」「服装に気を付ける」といったことを行うとよいでしょう。
慢性的に頭痛などがある人も長生きできない傾向にあります。頭痛にはいくつか原因があり、血行不良によって血管が拡張し、それが原因で脳神経を刺激すると頭痛を誘発する場合があります。そういう人は「ロキソニン」や「バファリン」を常備薬として携行していると安心です。
また、筋肉の張りや凝りによって発症する頭痛もあります。これは同じ姿勢をずっととっていると起こりやすく、デスクワークの多い人に見られる頭痛です。
このような慢性的な頭痛に悩む人の場合には、脳梗塞とか脳出血、心臓の場合だと狭心症や心筋梗塞などを引き起こす危険があります。いずれの場合も血行が大いに関係していますので、頭痛を改善するための適度な運動や、ストレス解消などを心掛けましょう。
平坦な道で転んだり、つまずきやすい人も長生きしにくい傾向にあるように思われます。運動中枢は脳にあるので、脳への血行が悪い状態だと、脳が萎縮してしまい運動神経の機能が低下します。その結果として、転びやすい、つまずきやすいといった症状が現れることがあります。加齢とともに筋力が弱まり、転倒やつまずきやすくなるのは良く知られていますが、血行が悪くなることでも起こりやすいため、注意が必要です。
片足立ちができない人は、自覚症状はなくても小さい脳梗塞を起こしていたり脳出血があったりする人は多いです。片足立ちが20秒未満しかできない人は、無症候性ラクナ梗塞(隠れ脳梗塞)、無症候性微小脳出血(隠れ脳出血)があると言われています。
よく脳外科でMRIを撮影したら、血管に詰まった小さな跡があると言われた人もいるのではないでしょうか。それも血液の流れが悪く、血管が詰まってはいるものの小さすぎて症状が出ていないものだったりします。
加齢以外にも高血圧や糖尿病、ストレスなどには普段から気を付けつつ、適度な運動を心掛けましょう。
体重における筋肉量は約40%程度ありますが、その筋肉のうち足やお尻、大腿といった下半身の筋肉量が全体の70%を占めています。そのため下半身の筋力が弱ってくると、足を持ち上げられなくなり、気づかないうちにすり足になってきます。若いうちは体重を筋肉で支えてたものの、加齢により筋肉で体重を支えられなくなってしまうため、膝が痛い、腰が痛いといった症状が年齢と共に出てきやすくなります。
なお、内臓疾患にも筋肉は非常に関係しています。なかでも一番大きいのは糖尿病です。筋肉は血糖値の調整を行う働きをしますが、血液中に増えたブドウ糖の一部は筋肉に取り込まれるものの、うまく取り込まれなくなることで、糖尿病になったり高血圧やがんになったりもします。つまり筋力をアップすることで糖尿病対策にもつながるため、普段から散歩やスクワットなどを心掛けましょう。
体温の低い人は免疫が低くなってしまうため長生きしにくい傾向にあります。1950年代では36.9℃が日本人の平均体温でしたが、現在はおよそ35.8℃から36.4℃ぐらいと言われており、70年前と比べて1℃前後下がっているわけです。このように低体温化した理由としては、筋肉量の低下、夏には冷房が効く環境下にいることが多くなったことなどが挙げられます。
一般的には体温が1℃下がると30%免疫が下がると言われていますが、入浴などによって1℃体温を上げると、その後数時間は免疫が4倍から5倍は上がると言われていますので、体温を上げておくことは健康のためには大事です。
ちなみに、体温を上げるにはサウナは効果的です。週3回、少し低めの65℃程度のサウナに15分くらい入ると心不全の予防につながるという論文もありますし、フィンランドで行われた調査によると、サウナの入浴頻度が週1回~7回の人の中でも、頻度が高い人ほど病気の罹患率が少ないという結果が出たという報告もあります。
ここまでは長生きできない人の特徴についてお伝えしてきましたが、ここからは寿命を縮める要素のある生活習慣についていくつか紹介していきます。
喫煙は確実に寿命を縮めます。消化器系では食道がんや咽頭がんなどを発症している人の場合、たばこを吸っている人がかかる確率は高いです。たばこに含まれるニコチンが全身の血管を収縮させ血行を悪くし、血液をドロドロにしてしまいます。よく電子たばこであれば健康被害が少ないという人もいますが、確かに有害物質の量は紙たばこより少ないものの、電子たばこにもニコチンや有害物質は含まれますので、健康に悪影響を及ぼす可能性は高いです。
飲酒もほどほどに楽しめる程度であればよいですが、最近の論文では一滴でも飲むとがんや生活習慣病のリスクが上がるとも言われています。ただし飲酒によってストレス緩和やリラクゼーション効果をもたらすこともありますので、リスクがあるとわかった上で程よく楽しむようにしましょう。
夜型生活の人も寿命が縮まりやすい傾向にあります。重要なホルモンは夜中に分泌されるため、夜型生活の人は必然的にホルモン分泌を妨げてしまいます。出るべきホルモンが出なくなることで、免疫力が下がり病気にかかりやすくなります。ホルモンが分泌される時間帯は夜の11時~2時前後ですので、その時間帯は就寝するのがよいでしょう。
ちなみに、成長ホルモンの分泌は午後10時~午前2時に多くなるとされていますので、成長期のお子さんはその時間は絶対に寝たほうがよいです。成長ホルモンは大人の場合、日中の心身の疲れやストレスを開放してくれたり、組織の修復、老化の進行を抑制してくれます。免疫を上げるリンパ球が一番よく働くのが0時~2時くらいなので、その時間に寝ることは免疫を上げるためにも大事です。
睡眠時間を体の働きに合わせることが重要なので、1番よいのは「11時~4時」を睡眠タイムに充てることです。
食べ過ぎも寿命を縮める要因のひとつです。食べ過ぎるとオートファジーが働きません。オートファジーとは、空腹時に細胞内にある古いタンパク質やウィルスを細胞自身が消化する仕組みのことですが、オートファジーを働かせるために、空腹時間を作ることはとても重要です。
オートファジーが働くことで細胞内の恒常性を保ち、体の細胞の修復をしたり、若返りを促進してくれたりします。
以上、寿命の短い人に良く見られる兆候や、短命の人にありがちな避けるべき生活習慣について紹介してきました。
長寿でいるためには健康でいなければなりません。そのためには、普段の生活習慣自体が健康につながっていく必要があります。健康に十分気をつける意味でも、生活習慣病には注意すること、定期的な検診を欠かさないことが重要です。
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