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早期食道がんは胃のレントゲン検査ではわからないって本当?お腹のプロが徹底解説

  • がん

初期の自覚症状がほとんどない食道がん。この食道がんを早期発見するためには、定期的な健康診断などを欠かさず行ってチェックする必要があります。

食道がんを見つけるための検査としては、通常上部消化管内視鏡検査(胃カメラ検査)や上部消化管造影検査(胃のレントゲン検査)が行われます。では、食道がんを胃レントゲン検査で見つけることができるかというと、実際には見つけにくいのが現状です。ではなぜ上部消化管造影検査では食道がんが見つけにくいのでしょうか。

今回は、食道がんとはどのようなものなのか、早期食道がんは本当に胃のレントゲン検査で見つけにくいかどうかを詳しく見ていきます。

1. 食道がんとは

癌

国立がん研究センターの統計情報によると、食道がんと診断される人は2019年データで26,382例(男性21,729例、女性4,663例)を数えます。また死亡数は2020年の数値で10,981例(男性8,978人、女性2,003人)となっています。

食道がん自体は、肺がんや大腸がん、胃がんなどに比べると罹患数および死亡数は少なく、消化管がんでは最も頻度が低いがんとなっています。男性に発症しやすいのが特徴で、年齢は60代から70代にかけて最も多く罹患します。

食道がんは粘膜内にとどまっているものを「早期食道がん」、粘膜下層まで進行したものを「食道表在がん」、さらに深い層まで達したものを「進行がん」と呼びます。

1-1. 食道がんの症状

食道がんは初期における自覚症状をほとんど感じないがんです。しかし、がんが進行すると食べ物を飲み込んだ時にのどのあたりがチクチクしたり、しみたり、つかえたりするなどの症状を感じます。がんの進行に伴い食欲が低下することにより体重の減少が見られたり、胸や背中に痛みを感じたり、声が出にくくなったりすることもあります。

食道は私達が食べた食物が通る道です。その食道部分にがんができそれが大きくなって食道の内腔が狭くなると、段々と固形物がつかえるため食べられなくなり、やがてやわらかい食物や水分しか喉を通らなくなってしまいます。さらにがんが大きくなると食道内腔が完全に塞がれてしまい、食べ物だけでなく水も通らなくなってしまい、自分の唾液すら飲み込めず嘔吐も見られなくなるのです。

1-2. 食道がんの原因

食道がんの主な要因は従来から飲酒と喫煙と言われていましたが、近年になり日本人の場合は飲酒が大きな原因だと考えられるようになってきました。特にフラッシャーと言われるお酒を飲むと顔が赤くなる人は、確実に食道がんのリスクが高いと考えてよいでしょう。

お酒をたくさん飲む人は気持ち的に大きい人も多いですよね。自分はがんにならないから大丈夫だと思っている人もいると思いますが、定期的な検診を受ける習慣がないとがんが見逃される可能性は高いので、まずは検査をきちんと受けること、それも胃カメラ検査を受けることがとても大事です。

1-3. 食道がんの人が咽頭がんと喉頭がんになる確率

咽頭と食道の粘膜は似ていて、同じ重層扁平上皮から出来ています。食道がんの人が咽頭がんになる確率は10%程度あると言われています。咽頭がんの主な原因も食道がん同様、過度な飲酒や喫煙だと言われています。

2. 早期食道がんが胃レントゲン検査で見つけにくい理由

医者と患者

先ほどお伝えしましたが、食道がんは初期の自覚症状がほとんどないがんです。それゆえ、さまざまな症状が出てきた際にはかなりがんが進行していることが推測されます。そうならないためにもできるだけがんが小さいうちに見つけることが重要です。

そこで重要なのがどのような検査を行うかです。基本的に食道がんの検査は、胃カメラ検査や胃レントゲン検査にて行われます。その際に費用面などを考慮し胃レントゲン検査を選択して検査をする人も多いでしょう。しかしながら、胃レントゲン検査で早期食道がんを見つけられるかというと、ほとんど見つからないといっても過言ではありません。

理由としては、食道は筒状態の消化管であるためバリウムを飲んでもすぐにサーッと下へ流れていってしまうためです。胃の中であればバリウムが溜まってくれますが、食道には溜めることができません。表面上はバリウムが通過するものの、よほどの凹凸がない限りほとんどが、流れ落ちてしまいます。その結果レントゲン撮影を行っても正確に撮影することができないのです。

2-1. 早期食道がんと表在食道がんは平坦型

ほとんどの早期食道がんや表在食道がん(食道の内壁の最も表面に近い部分に発生するがん)は非常に平坦です。

表在食道がんの肉眼型の分類としては以下のように定義されています。

0-Ⅱ型(表面型)
(1)0-Ⅱa(表面隆起型):ごく軽度に隆起
(2)0-Ⅱb(表面平坦型):肉眼で隆起や陥凹が認識できない
(3)0-Ⅱc(表面陥凹型):ごく浅い軽度の陥凹

早期食道がんを分類すると、ほとんどが0-Ⅱcという表面陥凹型で、わずかに0-Ⅱbという平坦型が認められます。0-Ⅱbは表面平坦型と言われ、正常粘膜とがんとの高さの変化がなく、0-Ⅱcは表面陥凹型と言われ、がんの部分がわずかに凹んでいる程度です。そのわずかな凹みを胃レントゲン検査によるバリウムでは、診断するのが困難であるのが現状です。

2-2. 胃のレントゲン検査は受ける必要がない?

食道がんを早期に発見したいのであれば、胃レントゲン検査ではなく確実に胃カメラ検査を受けるしかありません。医師の中には、内視鏡の画像が格段に高画質になってきている今、昔と違い胃レントゲン検査を受けるメリットはなくなっていると考えている人がほとんどでしょう。

胃レントゲン検査のメリットは写真の客観性だけにすぎません。今でも外科の医師たちがレントゲン撮影を行うことがありますが、これは手術前に実際の臓器を切除するラインを決めるため用いる検査であり、決してがんを診断するわけではありません。レントゲン写真は実際の大きさで撮影されるため、がんの場所と大きさの歪みがないのです。

3. 食道がんの自覚症状が出てきたら?

喉を押さえる男性

自覚症状があってから見つかる食道がんは、ほぼ100%進行がんの可能性が高いと思われます。進行食道がんの場合は、病気の進行も早いと考えられています。食道は胃と違って漿膜(しょうまく:臓器を覆う薄い半透明の膜のこと)がないため、容易に周囲の組織や臓器にがんが浸潤する傾向があるため、特に周囲のリンパ節転移をきたしやすいという特徴があります。そのため、他臓器への直接浸潤による転移をしやすいこと、しかも食道の隣に気管支、大動脈や心臓があるので、がんによる進行で浸潤が疑われる場合は、手術による治療を受けられなくなります。

食道がんの場合、ステージⅢでも隣接臓器に接していると判断される場合は手術適応がないと判断されることが多くあります。一般的にはステージⅣと言われる遠隔転移でなければ手術適応となることが多いものの、食道の場合はそれより手前のステージでも手術ができないことがあるので注意が必要です。

3-1. 食道がんは手術が大変なケースも

食道は手術を行うのが大変な臓器です。胸腔という空間のなかの縦郭にありアプローチするのも大変な場所にあります。さらに切除後の再建臓器にも工夫が必要になります。たとえば、胃がんであればがんの部分を切除して、小腸をつないでしまうことが出来ます。これは腹腔内にある小腸が長いために、もとあった胃の位置まで小腸を引っ張り上げられるためにできることです。ただし食道は胸腔内にあって代わりになるものがありません。下からつり上げるにしても胸とお腹を開けなければなりませんし、その先にある胃を代用する場合には胃を筒状に加工しないと食道の代わりにはなりません。

またすでに手術等で胃を切除している人の場合、さらに下の小腸を腹腔内から胸腔内へ引っ張り上げる必要があります。そういった意味で食道がんの手術は一般的に胃がんよりも大変な経過をたどることが多いです。

4. まとめ

酒に酔った女性

以上、食道がんとはどのようなものなのか、早期食道がんは本当に胃のレントゲン検査では見つかりにくいのかを説明してきました。

早期食道がん発見のためには、定期的に胃カメラ検査を行うことが大事であると考えられます。飲酒が主な原因である食道がんにおいては、お酒を飲んで顔が赤くなるフラッシャーがある人は特に、症状がなくても定期的な胃カメラ検査を受けることをお勧めします。

胃カメラ検査では、咽頭・食道・胃・十二指腸な上部消化管全てを1度でしっかり観察できます。早期がんが見つかる可能性が高いのは胃レントゲン検査よりも胃カメラ検査であることは明らかです。胃レントゲン検査で何も異常がなかった人が胃カメラ検査で早期食道がんが見つかったというケースはたくさんありますし、胃カメラ検査であれば、進行食道がんであればまず見落とされることはないでしょう。

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