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おすすめ内視鏡豆知識
Endoscopist Doctor's Knowledge
あなたの「がん」は見逃されているかもしれません。
がんの見逃しというのはよく聞く事ですが、実はそんなに多く起こっていることではありません。
実際にがんというのは、小さい時は発見しづらいものです。
定期的に検査を受けることで少しでも早く発見することが可能となります。
では、がんについて、見逃しのない内視鏡検査について説明します。
後半では、がんで亡くならないための健康診断の重要性について説明します。
がんというのは、最初は目に見えないような小さなものですが、時間が経つにつれて大きくなり、はっきりとしてきます。
みなさんもご存知かもしれませんが、早期がんと進行がんという分類があります。
これは、大きさだけではなく、がんの深さや広がり、転移などを含めて、それぞれのがんで定義されています。
早期、進行という言葉だけで考えると、「早期がんイコール助かる」、「進行がんイコール助からない」というイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれません。
早期がんは、比較的治りやすく、消化管のがんであれば内視鏡治療で治ることもあります。
しかし、早期がんであっても、他臓器に転移することもあり、命を落とすこともあり得ます。
*早期胃がん 内視鏡治療のみで完治
*早期大腸がん 日帰り内視鏡治療で完治
進行がんは、早期がんに近いものは治りやすいのですが、進行がんのうちステージが上がるにつれて治りにくくなります。最近では、手術の技術も進歩し、抗がん剤、放射線治療、その他の治療も進歩しているため、進行がんでもがんを克服して、通常の生活を送られている方も多くいらっしゃいます。
*進行大腸がん 手術+抗がん剤で完治
ただ、がんというのは絶対に早期に発見することがベストです。
2人に1人が何らかのがんにかかる時代です。
早期発見して、なるべくからだに負担がなく、短期間で治療が終了するように心がけましょう。
以前にも説明しましたが、消化管のがんである、食道がんや胃がん、大腸がんに対して、
@バリウム検査
@便潜血検査
@腫瘍マーカー検査
はある程度進んだがんを発見することが多い検査です。
早期がんは見逃されていることもあります。
早期発見、早期治療を目指すのであれば、
何度も何度も言いますが、内視鏡検査(胃カメラ、大腸カメラ)がベストです。
内視鏡検査を受けても、がんを見逃されることはあります。
我々も見逃しに関しては、細心の注意を払っています。
当院では、少しでも見逃しがないように努力しています。
見逃しがないように努力していることと、それにより実際に発見できた症例を提示します。
まずひとつ目は内視鏡の機械についてです。
当院では、少しでも良い機器で検査ができるように日々アップデートをしています。
画質が良いと小さながんや少ししかへこんだり、盛り上がっていないがんを発見できます。
このような小さながんは、画質が悪い内視鏡機器では発見しにくいです。
*わずかな「へこみ」しかない早期胃がん
*わずかな色調変化のみの早期胃がん
*わずかに色調変化して示さない早期胃がん
ふたつ目は内視鏡時の鎮静剤です。
鎮静剤を使わなくても、胃カメラや大腸カメラを受けることは可能です。
実際に、使わない患者さんや施設は多いです。
*ひだの裏に存在したわずかな色調変化と表面の不整しか示さない早期大腸がん
使わなくてもしっかりと検査ができ、苦痛を感じず、定期検査につながれば問題ありません。
では、なぜ我々は鎮静剤を使うのでしょうか?
まず、鎮静剤を使うことで患者さんの胃や大腸をしっかり膨らませることができ、観察がよくできます。胃にはひだがあり、その間にがんが隠れていることがあります。
胃カメラを受けた時にゲップがひどく出た方は、一度鎮静剤を使う胃カメラを受けてみましょう。
*胃のひだの間の早期胃がん
*さきほどの早期胃がんのインジゴカルミン撒布像
大腸もしっかり見るためには、内視鏡を奥に進めたり、ひいてみたり何度も操作します。
これは、結構痛みや違和感を感じます。
*何度かスコープを出し入れして発見できた早期大腸がん
胃カメラも大腸カメラも苦痛がなければ、定期的に検査をして、がんが発見されることにつながります。
我々も患者さんが苦痛を感じていなければ、安心して時間をかけて丁寧に検査をすることができます。
そして、最後は内視鏡医の問題です。
当院では、すべての医師が週5日以上、年間検査を行っています。
そして、大学病院やがんセンターなど内視鏡専門施設で経験を積んできた消化器内視鏡学会の専門医です。
数多くの症例を経験していますので、他院で満足のいく胃カメラや大腸カメラができなかった方は一度受診してみてください。
著名人が食道がんや胃がん、そして大腸がんでなくなったというニュースを見聞きしませんか?なぜ、そこまで放置してしまったのでしょうか?
会社勤めの方は、定期的に健康診断があるでしょう。
しかし、定期的な健康診断がない会社の人、個人経営の方などは自ら積極的に受診しないとがんの早期発見の機会を失ってしまいます。
症状が出てからやっと医療機関を受診するようでは進行がんで発見される方が多くなります。
詳細な検査で、手遅れな末期がんと診断される方を多く診てきました。
食道がんや胃がん、大腸がんは、早期発見できれば内視鏡治療で完治できます。
この段階で治療できれば、ほぼ100%がんは完治できます。
さらに多少進行しても、外科的手術で治る可能性がかなり高くなっています。
なるべく若いうち、40歳から50歳くらいから健康診断をとりあえず受けておけば、比較的早期のうち、もしくは進行しても治療が可能な段階で発見できるかもしれません。
基本的に健康診断をしていれば、胃がん、食道がん、大腸がんでなくなる可能性は低くなります。
ただし、健康診断を受けていれば大丈夫というわけではありません。
胃レントゲン検査を受けて異常なしであれば「がんがない」と思っていませんか?
何度も言っていますが、胃レントゲン検査は早期胃がん、早期食道がんを見逃しやすいです。
とくに盛り上がりや凹みが少ない早期がん、進行がんは見逃しやすくなります。
胃レントゲン検査で胃がんを見つけるのは、かなりの難易度です。
実際に胃がんがある場所がわかっていても、胃レントゲン検査画像からはわからないことがあります。
人間ドックなどで胃レントゲン検査と胃カメラ検査、どちらかを選択できる場合は迷わずに胃カメラを選択しましょう。
ただ、胃カメラを選択しても、その検査がつらく、トラウマになってしまっては定期検査につながりません。
胃がんはすぐには進行しません。少しずつ進行していきます。
定期的に胃カメラ検査をすれば、少しでも早く発見できるかもしれません。
そのためにできれば、鎮静剤を使ってもらえる施設で受けましょう。
また、自費で追加でいるのであれば、ピロリ菌がいるかどうかの採血検査を追加するのがおすすめです。
胃がんの1番の原因はピロリ菌です。その検査でピロリ菌がいるかどうかがわかります。
1994年に世界保健機関(WHO)は、ピロリ菌を「確実な発がん因子」であると認定しました。
これは、タバコやアスベストと同じリスクということです。
体の中にタバコやアスベストと同じような発ガン物質が入っているって恐ろしくないですか?
採血は、人間ドックで行われるものであり、ピロリ菌検査のために追加で血液を取られることはありません。
ピロリ菌を検査したことがない人は、追加しましょう。
すでに陽性と分かっている人、陰性と分かっている人、ピロリ菌を除菌した人は追加しても意味がないので検査をしなくても大丈夫です。
また、食道がんに関しては、胃がんほど多くないために食道がん検診というものはありません。
ほとんどの症例がたまたま胃カメラ検査の際に発見されています。
バリウム検査では、食道がんの発見はきわめて困難です。
バリウム検査で「異常なし」と診断されてしまうと、食道がんも大丈夫と思ってしまいがちです。
食道がんのリスクは、主に飲酒と喫煙です。
50歳以上で、喫煙、飲酒をされる方は定期的に胃カメラ検査を受けましょう。
胃カメラという名前で呼ばれますが、食道もよく見ることができます。
このような食道がんは、すでに転移してしまい、手術はできず、命を落としてしまうかもしれません。
*進行食道がん。食道の半分が腫瘍に占拠されています。
食道がんは、このようなかなり早期の段階で見つけないといけません。
この段階だと内視鏡治療ができて、わずか1時間で治療は完了して、その後の生活に支障は全くありません。
*早期食道がん:わずかな発赤のみで発見。
食道がんが心配な人は、まずは胃カメラですね!
また、最近は大腸がんで亡くなる方もかなり多くなっています。
ガンの中で一番多いのが大腸ガンです。
健康診断をしている方は、便潜血検査をしていると思いますが、便潜血検査を毎年しっかりとしていれば、大腸がんで亡くなる可能性は低くなります。
最低限、便潜血検査を受けてください。
さらに言えば、大腸内視鏡検査をしっかりとした間隔で受けていれば、ほぼ大腸がんでなくなることはありません。
内視鏡検査をしっかりとして、大腸がんになる前の大腸ポリープを切除する。
そして、大腸がんになってしまったとしても、早期であれば内視鏡治療できるうちに発見して、切除することが大事になります。
内視鏡治療できない大腸がんであっても、転移する前になるべく早く取り除くことで治癒することができます。
大腸がんで死にたくないと思う方は、便潜血検査、もしくは大腸内視鏡検査を受けてください。
大腸がんを少しでも予防したい場合は、大腸内視鏡検査をおすすめします!
今回は、胃がん、食道がん、大腸がんでなくならないためのベストな方法についてお話ししました。
ご検討ください。
周りの人にも、教えてあげることでその人の命を救うことにつながるかもしれません。