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喉や食道の違和感は食道がん初期症状? 

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みなさんは、喉のつまりや食道の違和感を覚え食道がんではないか?と不安に思ったことはないでしょうか。

このような喉のつまりや食道の違和感を認める人は特に30-60歳代の女性に多く
ほとんどの方が、まずは耳鼻咽喉科を受診されるのではないでしょうか?

そして受診して耳鼻咽喉科による喉頭ファイバー検査を行ったが異常なかった、
もしくは若干赤いので逆流性食道炎かもしれない、と診断されたことがありませんか。

その後消化器内科を受診して実際に胃カメラ検査を行うと内視鏡的には異常所見が無く、「咽喉頭異常感症」「咽喉頭神経症」と診断されることが多いと思われます。胃カメラ検査後に異常なしと診断されると、多くの方が安心して症状が無くなることがあります。やはり、症状が残る方もいるので、実際には胃酸の逆流は起きているものと考えられるのです。

非びらん性胃食道逆流症といって、内視鏡的には炎症を示唆する赤い所見がなくても胃酸の咽頭までの逆流は起きているものと考えられます。一種の知覚過敏が起きていて、少しの刺激が症状としてはとても大きくなり、それが喉や食道の違和感へとつながっていくのです。

問題なのは、食道がんの初期であっても自覚症状がないことがほとんどです。

がんの進行に伴って食事の際のつまり、違和感のような症状が現れることがあります。
食道がんによる症状かどうかをしっかりと確認することが重要になります。

わずかな初期症状を見逃さず胃カメラ検査へのきっかけにすることで、食道がんの発見が少しでも早くなることもあるのです。

今回は、食道がんの初期症状食道がんのリスクについてご紹介します。

食道がんの初期症状

この症状があれば初期の食道がんと言う症状はありません。しかしながら、見逃してはいけない症状があり、それを覚えておくとよいでしょう。食道がんに限らず、食道の疾患を疑う症状を幾つか例に挙げて説明していきます。

食べ物や飲み物がしみる

口から摂取した食べ物と、炎症やがんのような正常ではない食道粘膜が接触することで「しみる」という感覚になることがあります。

とくに熱いものや塩味や酸味のある刺激物が、食道を通過したときに「しみる」と感じることが多いです。「胸の奥が熱く感じる」などと表現する場合もあり、これを灼熱感といいます。

ここでは、「しみる」と表現しましたが、人によっては「チクチクする痛み」として感じることもあり、嚥下時痛といいます。「胸の奥が熱く感じる」などと表現する場合もあります。

また、食べ物を飲み込んだときに感じる「チクチク」や「しみる」感覚は、食べ物が食道を通過できるほどの大きさの時に多く現れる症状です。

食道がん以外では食道の壁の炎症や食道潰瘍なども原因になります。食事中に嚥下時痛や灼熱感を自覚するときは医療機関で調べてもらうことが重要です。

つまり、食道がんでも初期の段階で現れることがあるためこのサインを見逃さないでください。

食べ物がつまる感覚がある

食事など食べ物を口にした時に、喉や食道に食べ物がつかえる、つまる感覚がある時には、実際に食道がんができていることがあります。

通常多いケースが、食べ物をしっかり噛まないで飲み込んだ食べ物や、肉や魚など大きいまま飲み込んだときに感じることが多いようです。そば、うどんなど麺類やパスタを良く噛まず飲み込んでも同様の症状が出現し、それに伴い食べたものを嘔吐してしまうこともあります。

食べ物の通り道である食道が、食道がんによって塞がれてしまい食べ物がそこで留まってしまうことで起こりえる症状です。しかし、食道がんがある程度大きくなり食道内腔を占拠する位にならないと出てこない症状でもあります。

実際に食事がつかえて嘔吐することで、次第に食事量が減りそれに伴い体重も減少します。また、がん細胞が取り込んだエネルギーを正常細胞よりも多く消費するため、短期間に急激な体重減少をきたす時があります。体重減少は重要なサインなのです。

声がかすれる

声がかすれる場合、多くの人が耳鼻科を受診します。声帯を直接観察し声帯の動きに問題がないかどうかを診断します。実際に声帯が麻痺して動きが悪い場合には、食道がんが原因で声がかすれている場合が考えられるので、早急な消化器内科での精密検査をすすめられます。そこで食道がんがかなり進行した状態で発見されるケースもあるのです。

声は声帯を震わせることで出ますが、声を出すための神経である反回神経が食道の隣にあります。食道がんができ、周りのリンパ節に転移すると反回神経が巻き込まれて神経が麻痺してしまい、脳からの声を出す神経伝達が喉に伝わらなくなるために、声を出すための声帯が上手く震えなくなり声がかすれて、出にくくなるのです。

声のかすれによって違和感を覚え、食道がんの発見につながるケースもあります。声の出しづらさやかすれがある場合には、耳鼻科を受診し異常が見つからない場合には消化器内科を受診することを覚えておくといいでしょう。

食道がんとは?

食道は、咽頭(のど)と胃の間をつないでいる筒状の臓器です。この筒を構成している壁は、内側から外側に向かって粘膜上皮、粘膜固有層、粘膜筋板、粘膜下層、固有筋層、外膜という層から構成されおり、最も内側の粘膜上皮は重層扁平上皮という組織で覆われています。この食道粘膜から発生したがんを食道がんといいます。

食道がんは、発症してすぐの段階では自覚症状がないことが多く、進行していくことで徐々に症状が現れます。その多くが、喉や食道のつまった感じや違和感です。

日本人の場合多くは、食道の中央あたりや胃とのつなぎ目に近い下部食道にがんが発生します。日本人でみられる食道がんの90%以上は、この食道壁の一番内側の粘膜上皮である重層扁平上皮から発生する扁平上皮がんです。食道がん(食道扁平上皮がん)は60~70歳の男性に発症しやすいと言われています。食道と胃のつなぎ目のバレット食道から発生する食道腺がんは日本では約10%程度と少ないですが、欧米では食道がんの50%以上を占めると言われています。

粘膜層の細胞が炎症をきかっけとする遺伝子変異が生じた結果なんらかの原因で、正常の細胞がトラブルを起こし、細胞ががん化していき増殖しながら外膜を突き抜け食道以外にも気管や大動脈へ直接広がることを「浸潤」といいます。

食道の周りには、心臓・肺・大動脈など体にとって重要な器官が集まっており、直接隣接する臓器に浸潤してしまうと遠隔転移がなくても手術治療が困難になることもあります。

食道がんを早期に発見することで、他臓器への浸潤や転移を避けることができるだけではなく完治することも目指せます。

しかし初期の段階では、食道がん特有のこれといった症状がないため、ある程度進行してから違和感や食事のつかえ感、食事摂取困難の症状から発見されることも多くあります。

もし、食道がん発見につながる症状が出た場合には、迷わず胃カメラ検査を受けましょう。

どんな症状を見逃してはいけないのかを理解しておくことで、迅速に対応できるようになります。

食道がんの原因

食道がんの原因もさまざまな研究からわかってきています。原因を知っておくことで、食道がんになるリスクを低くすることも可能です。日本人に多い食道がんは食道粘膜由来の食道扁平上皮がんと言われ、主な原因は、喫煙と飲酒です。毎日1.5合以上の飲酒や20本以上の喫煙をする人は、飲酒や喫煙をしない人に比べて30倍以上の発がんリスクがあると言われています。

飲酒

近年の研究でアルコールによる食道がんの発生が明らかになりました。飲酒により摂取されたアルコールが体内で分解されることによって生じるアセトアルデヒドは発がん性物質と考えられています。このアセトアルデヒドが顔を赤くする原因と考えられていて、アセトアルデヒドを分解する酵素の働きが生まれつき弱い人は、食道がん(食道扁平上皮がん)の発生する危険性が高いと報告されました。

アルコールが分解されることでできるアセトアルデヒドは、発がん物質とされており世界保健機構(WHO)でも認定されています。先程述べた、飲酒すると顔が赤くなる方は「フラッシャー」と呼ばれ、「ALDH2」というアルデヒド脱水素酵素の働きが弱いためアセトアルデヒドを分解しにくい体質である場合が多く、食道がんのリスクが高くなると考えられています。特に少量の飲酒ですぐに顔が赤くなっていた人が、だんだん飲酒に慣れて耐性が付くと赤くなりにくくなり、時間的経過により飲酒量が増えると、食道がんができる可能性が何十倍も高まると言われています。

日本人の約44%は、ALDH2を持たないか、その働きが弱くアセトアルデヒドが貯まりやすいのです。この遺伝的性質は、日本人などのモンゴロイド特有のもので、アフリカ系やヨーロッパ系の人種には見られません。

たくさんの飲酒を長期間続ける人、喫煙と飲酒の両方の習慣がある人は、その危険性がより高まると考えられています。また、熱い物の摂取も食道粘膜への炎症が起こりやすく、食道がん(食道扁平上皮がん)の危険性を高めると考えられています。

喫煙

たばこの煙には、4000種類以上の化学物質と250種類以上の毒物、発がん物質が含まれています。

たばこを吸わないから安心ということはなく、周囲に喫煙者がいることで副流煙を吸ってしまうのです。たばこを吸わなくても、他者の吸ったたばこの煙を吸うことを「受動喫煙」といいます。受動喫煙は、自分が喫煙者でなくともたばこを吸っているのと同じ状態です。

例えば20年間1日20本たばこを吸った人の場合、吸わない人の約5倍のリスクになるといわれています。

胃酸逆流

胃粘膜がピロリ菌に感染していない人は、胃本来の働きである胃酸の分泌がきちんと保たれているため、様々な原因で胃酸分泌が亢進している事が多くなってきています。現代では食事量が多い、カロリーが高い、刺激物摂取(辛い、しょっぱい、甘いなど)や油濃い物が多いために、消化酵素である胃酸が多くなることで胃酸過多の状態になり、胃酸逆流に伴う逆流性食道炎による炎症が持続することで、胃と食道のつなぎ目に生じるバレット食道がんになりやすいと考えられているのです。バレット食道がんは、胃酸の逆流によって元々食道だった粘膜が胃に置き換わって治るバレット上皮から発生する腺がんで、いわゆる欧米型のがんと言われていて、ピロリ菌の感染が低い若い世代に増加している、今後さらに増加していくと考えられている食道がんのタイプです。

一方で、ピロリ菌に感染していて過去にピロリ菌除菌をした方も注意が必要です。ピロリ菌を除去したことで、胃の働きが正常化し、食事量の増加やストレスなどにより胃酸分泌が多くなることが予想されます。欧米人ではピロリ菌陰性の人が多くこのバレット食道が口側の食道に向かって長く伸びていくLSBE(ロングセグメントバレット食道)が圧倒的に多いため、食道がんと言えばバレット食道腺がんと考えられています。

咽頭がん、胃がんを患ったことがある

咽頭、口腔、舌などにできるがんを患った場合や、治療中の場合にも食道がんのリスクが高くなります。

食道の粘膜と口腔咽頭の粘膜は同じ重層扁平上皮であるため、食道がんは、耳鼻科領域の他のがんと重複しやすいという特徴があるからです。食道がんの10%が咽頭がんのリスク、咽頭がんの10%が食道がんのリスクを持っていると考えられています。

またField Cancerizationといって、上部消化管領域のがんが重複することも知られています。がんは遺伝子のトラブルから発生しますので、胃がんと食道がんが同時に発生する、もしくは時間を異にしてそれぞれが発生することがあります。

食道がんと似た症状の病気もある

実際に症状があって内視鏡検査を受けてみると違う病気が発見されることがあります。下記に挙げた病気はどれも食道がんの症状に似ているためです。

逆流性食道炎

逆流性食道炎は胃酸が逆流することで、食道が炎症を起こしてしまう病気です。

そのため、「胸やけしているような感覚」や「胸が痛い、熱い」といった症状を訴える患者様が多くいます。それ以外にも「喉のイガイガ感」「喉のひっかかり」を訴える場合もあります。

食道潰瘍

逆流性食道炎や抗凝固剤などによる薬剤性、ウイルス感染症が原因で発症することが多く、食道に生じた潰瘍ができることから食道潰瘍といいます。

食道潰瘍を発症すると、食道に食べ物が通過したとき胸の痛みが現れることがあり、吐き気などの症状が現れます。

嘔吐の症状もあり、その血液を吐く場合もあります。

食道カンジダ

内視鏡検査で、白い点状のものが発見され食道カンジダと診断されます。副腎皮質ステロイドホルモンの内服や吸入、免疫抑制剤を使用しているときに生じます。

食道カンジダは無症状の場合もありますが、食べ物の飲み込みにくさやつまり感が現れることがあります。食道カンジダは症状が出ない場合もあり、自然治癒することも多いです。

咽頭がん

咽頭は、鼻の奥から食道の手前までの部位を指します。口を開け見える位置にあるのが中咽頭、上部にあるのが上咽頭で、下部にあるのが下咽頭です。

症状は喉の痛みが初期に多くみられ、次第に「食べ物が飲み込みにくい」「出血」「息苦しい」などの症状へと進行します。また発声部位にあたるため声が枯れることもあります。

発見しにくく完治しづらいのが食道がん

食道がんは、発症初期には無症状で、思い当たる症状が出たときには、進行がんになっていることが多いです。喉や食道に「チクチク」「しみる」感覚が現れるのも人によって異なります。症状が出ないまま進行してしまうこともあるのが、食道がんです。

末期の食道がんは、リンパ節・肺・肝臓・骨・脳などに転移がみられます。他の臓器にがんが転移した場合、全てのがんを取り除くことは困難です。そのためがんの完治ではなく、進行を遅らせる治療が主になります。

レントゲン造影検査では、初期の食道がんを見つけることはできるのでしょうか? 初期の食道がんのほとんどは平坦もしくはわずかな陥凹を呈する病変です。かなり進行した食道がんであれば検出できる可能性が高いですが、初期の食道がんはレントゲン検査ではほとんど見つからないと言っても過言ではありません。

食道がんを早期で発見するためには、内視鏡検査を定期的に行うことがもっとも有効な方法です。

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