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日本人のがん死亡率は海外と比べて高い?がん年齢調整死亡率の国際比較

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「欧米諸外国ではがんによる死亡率が減っている一方で、日本では死亡率が上昇し続けている」という話題を目にしたことはありませんか? 実際に、年齢を考慮しない全がんの死亡率は、諸外国と比べて大幅に増加していると報告されています。しかし、厚生労働省が公表している資料「がん年齢調整死亡率の国際比較(※1)」を詳しく見てみると、異なる側面が見えてきます。今回は、資料をもとに日本のがん死亡率の実情についてお伝えします。

「がん年齢調整死亡率」とは

がん年齢調整死亡率(※2)とは、年齢構成の違いによる影響をできるだけ減らして計算された死亡率を指します。一般的に、高齢になるほどがんになりやすく、死亡率も高くなります。そのため、同じがんでも高齢者が多い集団と少ない集団では、死亡率に差が出てしまうのです。そこで、年齢構成を考慮した「がん年齢調整死亡率」を計算し、より実情に近いがん死亡率が発表されています。

日本のがん死亡率は本当に増えている?がん死亡率の実態

厚生労働省が公表する「がん年齢調整死亡率の国際比較(令和4年9月20日付)」によると、年齢調整が行われていないがん死亡率(粗死亡率)は、1950年以降、右肩上がりに増え続けています。この結果だけを見ると「日本はがん死亡率が上昇し続けている」と言えるでしょう。

しかし、高齢者の影響を減らした「がん年齢調整死亡率」を見ると、1990年代後半をピークに年々減少しており、結果にギャップがあります。2025年には団塊の世代が後期高齢者となる日本では、年々、高齢者の割合が増え続けており、そのことががん死亡率の結果に反映されています。こうした高齢化の影響を除けば、日本でもがんの死亡率は減少し続けていることがわかります。

日本と諸外国のがん死亡率を比較

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では、世界の国々と比較して、日本のがんによる死亡率は高いのでしょうか、それとも低いのでしょうか。日本のがん年齢調整死亡率(以下、死亡率)と、諸外国のデータを比較してみましょう。厚生労働省の資料(※1)をもとに、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、韓国と比較した部位別のがん死亡率について、一部をご紹介します。

全がん

全がんとは、がんが発生した部位に関わらず、すべてのがんを対象とするものです。資料によると、全がんの死亡率(全年齢)は、日本を含め世界的に減少しています。男女別で見ると、顕著に死亡率が低いのが日本の女性です。1960年代をピークに緩やかに右肩下がりで、国際的にも韓国に次いで死亡率が低い結果となっています。諸外国と比べて日本人女性のがん死亡率は低いと言えるでしょう。

一方、男性の場合、特に減少率が高いのがイギリスで、1990年頃からがん死亡率は減少を続けています。しかし、日本の全がん死亡率は直近でこのイギリスを下回っており、この結果から見ても、日本人男性の全がん死亡率は国際的に見ても低いことがわかります。

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胃がん

胃がんの死亡率を諸外国と比較すると、男女ともに、日本が最も高くなっています。とはいえ、諸外国と大きな差をつけて高かった1950~60年代と比べると、死亡率は大幅に減ってきていることが見てとれます。胃がんはアジア人に多く発症する傾向があるとされており、欧米諸国と比べて罹患率が約5~10倍と報告されています(※3)。胃がん患者が多い日本では、相対的に死亡率も上がっているのではないかと考えられます。

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肝臓がん

肝臓がんの死亡率(全年齢)は、男女ともに最も高いのが韓国でした。次いで、大きな差をつけて日本、そしてアメリカ、オーストラリア、カナダ、イギリスなどが続いています。ただし、男女によって差があり、男性は欧米諸国と比べて死亡率がやや高いものの、女性はそれほど大きな差はありません。また、75歳未満で対象を絞り込んだデータでは、日本人男性の肝臓がん死亡率はアメリカより低く、日本人女性は諸外国と比較して、最も低い結果となっています。若い年齢層ほど、肝臓がんの死亡率が低いことがわかります。

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肺がん

肺がんの死亡率(全年齢)は、男女によって順位に大きな違いがあります。男性で最も死亡率が高かったのが韓国で、女性はカナダがトップでした。日本人の死亡率を見ると、1990年代後半まで増えていたものの、その後減少傾向にあり、諸外国と比べて低い結果となりました。ただし、諸外国と比べて減少幅は緩やかです。

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大腸がん

国際比較データのなかで、特に注目したいのが大腸がんの死亡率です。男女ともに、諸外国と比べて日本が最も高くなっています。加えて、同様に死亡率が高かった胃がんと比較すると、その減少率がゆるやかで、女性に至っては2000年代以降、ほぼ横ばいとなっています。

1960年代には、諸外国と比較して日本人の大腸がんの死亡率はかなり低かったにもかかわらず、1990年代には他国と同水準にまで上昇し、その後他国を追い抜きました。日本を含め世界的に大腸がんの死亡率は減少し続けているものの、日本の減少率は他国と比べてかなり緩やかで、2010年以降には死亡率トップとなっています。

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【関連記事】大腸がん増加の原因と予防策。大腸がんにならない生活習慣とは?

がん死亡率から見る「大腸がん」の早期発見の重要性

日本人の全がん死亡率は、高齢者の影響を除けば国際的にも低い傾向にあると言えます。しかし、部位別にみると、気になるのが「胃がん」「大腸がん」の死亡率の高さです。特に大腸がんは死亡率の減少もゆるやかで、最新の統計データ(※4)では日本人がかかるがんで大腸がんが最も多く(2019年)、死亡数では第2位(男性2位、女性1位、2022年)となっています。

大腸がんは初期の段階では自覚症状がほとんどない病気です。がんが進行するにつれて、血便や便通異常、貧血などの症状が見られますが、自覚症状が出たときにはがんが進行している可能性もあります。死亡率の高いがんから自分の命を守るためにも、症状の有無に関わらず定期的な検診や検査の受診がとても大切です。

男女ともに40代後半から大腸がんに罹患する人が増えてきますので(※5, 2019年時点)、年齢を考慮しながら、早めに検診を受けるようにしましょう。

早期発見のためには大腸がん検診を

厚生労働省は、40歳以上を対象に、年一回の大腸がん検診を推奨しています。具体的には、一次検査として問診及び便潜血検査を行い、異常が見つかった場合には大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)を実施することとなってます(※6)。しかしながら、職場での検診等で実施された便潜血検査で「要精密検査」と判定されても、内視鏡検査となると「痛そう」「恥ずかしい」といった理由で先延ばしにしている方がいます。早い段階であれば、内視鏡を使った切除手術でがんを取り除き進行を防げますが、進行してしまうとお腹を切る開腹手術が必要になり、心身にもお財布にも大きな負担がかかります。元気に年を重ねていくためにも、40歳を超えたら定期的な検査を受けましょう。

【関連記事】大腸がんの症状とは?早期発見のためのポイントと予防法

まとめ

日本人のがんの死亡率の増加には、高齢者人口が増えている影響が大きく反映されています。高齢化の影響を除くとがんの死亡率は減少しており、諸外国と比べても高いとはいえません。しかし、部位別に比較すると、日本人は胃がんや大腸がん死亡率が高く、特に大腸がんはあまり死亡率が下がっていない状況です。大腸がんの初期は自覚症状がないため、気づいたときには進行している可能性もあります。逆に、早期発見・治療ができれば、大腸がんは不治の病ではありません。定期的ながん検診や内視鏡検査で自身の健康を守りましょう。

当院では、大腸がんの早期発見に有効な、精度の高い大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)を行っております。「そろそろ検査が必要かも」とお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。

【関連記事】大腸がんになる前に内視鏡検査を受けましょう!!

【参考文献】

1)厚生労働省 がん年齢調整死亡率の国際比較(第82回がん対策推進協議会 資料1)

2)国立がん研究センター がん情報サービス用語集 年齢調整死亡率

3)国立がん研究センタープレスリリース「世界の最新がん罹患状況の公表〜70 カ国 455 地域参加による国際共同研究〜」

4)国立がん研究センター がん情報サービス 最新がん統計

5) 国立がん研究センター がん情報サービス がん種別統計情報 大腸

6)厚生労働省ホームページ がん検診

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