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Endoscopist Doctor's Knowledge
早食いしていませんか? 早食いは、私たちの健康にさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。満腹感を感じる前に食べ過ぎてしまい、肥満や生活習慣病のリスクが高まるだけでなく、消化器官に負担をかけ、胃腸の不調を引き起こすこともあります。また、よく噛まずに飲み込むことで栄養吸収が不十分になり、体への負担が増すことも考えられます。健康で快適な毎日を送るために、今一度「食べるスピード」を見直してみませんか?
今回は、早食いのデメリットについて詳しく解説していきます。
「早食い」とは、その名の通り通常の食事よりも短い時間で食べ物を摂取する行為を指します。早食いの明確な定義はありませんが、特徴としては一口あたりの咀嚼回数が少なくなること、食事の全体的なスピードが速いことが挙げられます。一般的に、早食いは時間の制約や急いでいる状況によって引き起こされる場合が多いものの、習慣的な要因や食事の環境によっても影響を受けるとされています。
早食いになる理由ですが、食習慣、環境、心理状態や身体状態など、さまざまな要因が絡み合って生まれるものです。具体的な理由としては、次のようなものが挙げられます。
幼少期の環境や育ち方は早食いに大きな影響を及ぼします。たとえば、家族や周囲の人たちが早食いの習慣を持っている場合、それが自然と身についてしまうことがあります。
学校や職場の昼休憩が短く食事に十分な時間を取れない状況では、食べるスピードを速くせざるを得ないこともあります。忙しい生活を送る現代人にとって、食事にじっくり時間をかける余裕がないことはよくあります。このような状況では、「食事は効率よく済ませるもの」という意識が根付いてしまいがちになります。
テレビやスマホを見ながら食べると、無意識のうちに早く食べる癖がつくことがあります。テレビやスマホを見ている状態では、注意が散漫になることで食事のペースをコントロールする意識が薄れてしまいがちになります。その結果、食べ物を噛む回数や飲み込むペースを意識的に管理する余裕がなくなり、結果として食べる速度が速くなるとされています。
心理的な要因も大きく影響します。たとえば、空腹感が強いときには、早く食べたいという衝動が抑えられず急いで食べてしまうことがあります。ストレスを感じている場合や、感情が高ぶっているときも同様です。また、食事そのものを楽しむという感覚が薄い人は、義務感で早食いになりやすい傾向があります。
咀嚼の回数が少なく十分に噛まずに食べる人は、自然と食べるスピードが速くなります。咀嚼が少なくなる原因として、噛み合わせが悪い、虫歯による痛みがある、歯の損傷や崩壊といった問題により食べ物をしっかり噛むことが難しくなり、次第に噛むことを諦めて飲み込む習慣がついてしまうといったことがあります。咀嚼の回数が少ないと感じている人は、歯のコンディションをチェックし必要に応じて歯の治療を行うことで早食いを抑えることができるかもしれません。
食べ物は、まず口の中でしっかり噛み砕かれ小さくなってから胃に送られます。胃に入ると胃酸の力でさらに分解され、小さなサイズになって初めて十二指腸に送られます。
しかし、早食いの人は口での咀嚼が不十分なため食事内容が大きな塊のまま胃に入ることになります。
その結果、胃はその食物の塊を胃酸で融かすのに時間がかかるため消化に負担がかかります。本来であれば、よく噛んでから胃に送ると胃での消化がスムーズになり、全体の消化時間も短くなるのですが、早食いの人の場合は、食べ物が胃に到達するスピードは速いものの胃での処理時間が長くなるという違いがあります。
早食いは、日常の些細な習慣のように思えるかもしれません。しかし、実はさまざまな健康リスクと密接に関係しています。では、食事を急いでしまうことでどのような病気に注意が必要になるのでしょうか?
ここからは、早食いの人が特に気を付けたい病気について紹介していきます。
逆流性食道炎は、胃酸や胃の内容物が食道に逆流することで、食道の粘膜が炎症を起こす病気です。通常、胃酸は胃の中から消化に伴い十二指腸に送り出されるようにぜん動運動が起こりますが、食道と胃の間にある下部食道括約筋の機能が低下したり、胃酸の分泌が過剰になることで胃酸が食道内に逆流しやすくなります。逆流が繰り返されることで、食道粘膜が胃酸によって損傷し、炎症や痛みを引き起こします。
主な症状には、胸焼け、呑酸、胸部の不快感、胸痛、喉の違和感や咳などがあります。逆流によって引き起こされるのは一つの症状だけではなく、さまざまな症状が起こりうるのです。胃酸逆流が慢性的になると、食道粘膜がたびたび損傷することで、粘膜の修復の過程でバレット食道が発生しやすくなります。このバレット食道から食道がんのリスクが高まることが多いため、定期的な内視鏡検査は必要です。
逆流性食道炎の原因としては、肥満、ストレス、食べ過ぎ、刺激物、脂っこい食事、アルコール、喫煙、そして早食いといった生活習慣が影響することが知られています。
早食いは、満腹感を感じる前に必要以上に食べ過ぎてしまう原因となります。これは脳が満腹信号を認識するまでに時間がかかるためで、結果としてカロリー摂取が過剰になり肥満に繋がるリスクが高まります。肥満になると、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を引き起こす要因にもなります。
早食いをすると、食べ物を十分に咀嚼せずに短時間で大量の食べ物を摂取することになりますが、これによって血糖値が急激に上昇しやすくなります。
通常、食事後に血糖値が上がると、インスリンというホルモンが分泌されて血糖値を下げる働きをしますが、急激な血糖値の上昇を繰り返すとインスリンの分泌が追いつかなくなったり、体がインスリンの働きに抵抗するようになったりする「インスリン抵抗性」が生じやすくなります。この状態が続くことで糖尿病(特に2型糖尿病)の発症リスクが高まります。
特に、食後血糖値が大幅に上昇する「血糖値スパイク」は、早食いで起こりやすいことが知られています。
早食いをする人は、食べ物を咀嚼する時間が短くなるため、食べ物の塊が大きいまま飲み込まれることが多くなります。このようなケースでは、食道へ送られるべき食べ物が誤って気管に入るリスクが高まります。また、早食いは咀嚼に必要な唾液の分泌量を減少させることがありますが、唾液は食べ物をスムーズに飲み込むのを助けるとともに、細菌を洗い流す役割も果たしています。その唾液が不足することで、気道や肺に細菌が入り込みやすい状況が作られます。
早食いはしばしば呼吸を整える時間を十分に取らないため、飲み込む動作と呼吸が同時に起こりやすくなり誤嚥が発生しやすくなります。ストレスや焦りが原因で早食いする場合は、さらに飲み込みの動作が雑になる可能性があります。このような食べ方をする結果、気管に入った細菌や異物が原因で炎症が起こり誤嚥性肺炎につながることがあります。
早食いを予防するためには、意識して咀嚼回数を増やすことが非常に重要です。一回の咀嚼回数には明確な基準はありませんが、以前は目安として30回程度しっかり噛むことが推奨されていましたが、噛みすぎると空気を沢山飲み込む原因にもなるため現代は10回程度で良いでしょう。よく噛むことで顎の筋肉が鍛えられるだけでなく、嚥下機能の向上にもつながるため、よく噛む習慣は老化を防ぐうえでも非常に重要です。噛む行為は脳への刺激を促すため、認知症の予防にも寄与する可能性があります。
また、一口で食べる量を減らすことも早食いの予防には効果的です。具体的には、食材を細かく切ったり盛り付けを少なくしたりして早食いをしないような食生活を心掛けるようにしてみましょう。
以上、早食いのデメリットや早食いの予防方法について紹介してきました。
早食いは、健康面で多くの悪影響をもたらす一方、得られるメリットはほとんどないと言っても過言ではありません。食べるスピードが速いと、十分に咀嚼されないまま食べ物が胃に送られるため、消化器官に大きな負担がかかるだけでなく、血糖値が急激に上昇しやすくなり、インスリン抵抗性や糖尿病のリスクを高める可能性があります。さらに、満腹感を感じる前に過食してしまうことで肥満を招きます。ほかにも、誤嚥のリスクを高め、誤嚥性肺炎や窒息といった命に関わる事態を引き起こすこともあります。
健康を守り生活の質を高めるためには、食事のスピードを見直し、ゆっくりと適度に噛む習慣を身につけることが重要です。
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