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一般診療
General Practice
目次
最近、日本人で増えている「大腸がん」。実は予防できる病気であることをご存知ですか?また、早期発見、早期治療できれば長生きすることもできます。大腸がんについて解説します。
まずは、大腸がんのリスクチェックを行いましょう。
大腸がんの発生は、生活習慣、家族歴と関わりがあるとされています。以下のチェックリストの項目に該当するものがひとつでもあれば、大腸内視鏡検査を受ける事をお勧めします。
また、大腸がんは40歳を過ぎたら増加していきます。40歳になったら一度大腸内視鏡検査を受けてみましょう。
大腸がんは、大腸にできる悪性腫瘍です。発生する場所によって、結腸がんと直腸がんに分かれます。S状結腸と直腸が好発部位です。
「大腸腺腫」という良性のポリープががん化して発生する大腸がんと、正常粘膜から直接発生する大腸がんがあります。最近では一部の非腫瘍性の過形成性ポリープもがん化の危険性があるとわかってきました。
大腸腺腫の内視鏡写真です。この段階で切除することで大腸がんの予防ができます。
大腸がんは次第に大腸の壁に深く侵入し、その内に大腸の壁の外まで広がる内にがん細胞がまき散らされたり、あるいは大腸の壁の中のリンパ液の流れに乗ってリンパ節に転移したり、血液の流れに乗って肝臓、肺など別臓器に転移したりします。
男性はおよそ11人に1人、女性はおよそ13人に1人が、一生のうちに大腸がんと診断されています。大腸がんにかかる方は増加傾向にあり、がんによる死亡数でも胃がんを抜いて第2位になりました。大腸がんは女性のがんによる死亡数の第1位です。
男性は27,098人、女性は23,560人の方が大腸がんで亡くなっています。
また、がんの中で大腸がんにかかる人が一番多くなっています。
進行大腸がんの内視鏡写真です。外科的手術が必要でした。
初期の大腸がんでは、まったく症状がない場合がほとんどです。進行するにつれて下記のような症状が少しずつ出てきます。あまり症状がでないため、進行してから発見されることも少なくありません。
下記のような症状があれば、特に要注意です。
便の一部を採取して、その中に血液が含まれているかを調べる検査です。
陽性になった場合は、精密検査(大腸内視鏡検査など)が必要です。
便潜血検査のメリットは病院に受診せず、便を取るだけという簡単な手技という点、便を取るだけなので、体への負担がないという点、大腸内視鏡検査と比べて圧倒的に検査費用が安いという点です。
デメリットは2点あります。1点目は、陽性反応があっても、大腸内に何も病変がないことがあるという点です(偽陽性)。2点目は、大腸がんがあっても陽性反応が出ないことがある、つまり陰性と診断されても、がんがないと言い切れない点です(偽陰性:見逃すということ)。20-30%の進行大腸がんは、便潜血検査で陰性となる可能性があります。
内視鏡を肛門から挿入して、全大腸を観察します。病変があった場合は、生検や内視鏡治療がその場で行えます。メリットは直接観察できるため、診断が迅速におこなえること、またその場で治療ができることです。デメリットは便潜血検査に比べて、費用が掛かること、病院受診をしなければいけないこと、わずかですが合併症があることです。
肛門から大腸内へ空気を注入したうえでCT撮影を行い、画像処理をして実際の内視鏡でのぞいているように画像を再構成する方法です。
内視鏡の挿入は不要ですが、空気を入れるため、腹部膨満の不快感は生じます。またあくまでも間接的に見ているために小病変の見逃しのリスクはあります。また病変が発見された場合は大腸内視鏡検査が必要になります。
小型のカメラ付きカプセルを飲み込むことで大腸を観察できます。
痛みがないこと、放射線被ばくがないなどのメリットはありますが、生検、ポリープ切除などの処置はできません。また、下剤を飲まなければいけません。解析にも時間がかかります。過去に何らかの理由で大腸内視鏡検査を受けられなかった方のみ保険適応となります。
寝ているだけで終わる検査で楽にできます。下剤も不要です。便潜血検査同様、進行がんは発見しやすいのですが、偽陽性が多い点(関係ないものがポリープやがんのように映ってします)が問題です。また、10mm以下の早期大腸がんを発見しにくいなどのデメリットがあります。値段も非常に高価です。
大きさや形によって、治療法が異なります。
当院では、日帰りでのポリペクミー、EMR(内視鏡的粘膜切除術)が可能です。
ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)は基本的に入院が必要となり、専門施設での治療となります。
写真①②は当院で日帰り内視鏡治療が可能であった「早期大腸がん」です。日帰り内視鏡治療で完治しました。
写真③④のポリープはサイズが大きかったため、入院してESDが行われました(早期大腸がんでした)。ESDで完治しました。
写真⑤は肛門にかかる病変であり、専門施設でまずESDが行われましたが粘膜下層深部浸潤がんであったため、後日に外科的手術が行われました。写真⑥は当院でEMRしましたが、病理で粘膜下層深部浸潤がんでありリンパ節転移、他臓器転移のリスクがあるため、後日に外科的手術が行われました。
写真⑦⑧⑨は一瞬で進行がんとわかるため、内視鏡治療の適応外です。
専門施設で外科的手術が行われました。
一部の症例では、追加で抗がん剤治療が必要でした。
外科的治療になるような進行がんでは、外科手術に続いて抗がん剤治療を行う場合もあります。その時は、さらに通院、入院を必要とし、プラスで数十万円の医療費がかかります。
身体的負担、精神的負担、金銭的負担などを考慮すると、内視鏡治療で完治する早期大腸がん(写真①②③④)のうちに発見することが重要です。
良性のうちに切除することで大腸がんになる前に予防できます。
予防というよりも、早期発見が主な目的となります。便潜血検査と大腸内視鏡の検診がありますが、お勧めは大腸内視鏡検査です。
当院の内視鏡治療の特徴は、「安全に苦しさと痛みに配慮した内視鏡検査を提供する」「見逃しのない高精度な観察を行う」ということです。
これまで培ってきた内視鏡検査の経験を十分に活かして高精度で安全な内視鏡検査、治療を行うように努めています。内視鏡を専門とする医師が、各臓器のポイント毎にどのような内視鏡操作を行えば苦しさと痛みに配慮した検査になるのかを熟知していますので、安心してお任せください。
そしてみなさま各人に合わせた、最適な量の鎮静剤を考えて検査をしています。こちらも多くの経験により検査が苦しさと、検査後もしっかりとした目覚め・気分不良がないように配慮するように努めています。
まずはお気軽にご相談ください。
<自己判断や放置は禁物!まずは受診を>
大腸がんかもしれないと疑うような、便秘、下痢、腹痛、おなかの張り、便が細いなどの症状がある場合は、まずは消化器内科を受診しましょう。
「ただの便秘だから大丈夫。だと自分自身で思い込んでいたが、気になって検査してみたら、実は大腸がんが原因だった・・・」などというケースもあり、自己判断はとても危険です。また上記のような症状があるのに放置していると、重大な病気が潜んでいた場合、取り返しのつかないことになってしまいます。自己判断や放置はせず、下記のような気になる症状が出ている方はぜひお早目に消化器内科を受診して、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)をお受けください。